
“GARDEN”の面白さの再発見
――今回の30周年記念BOXは5枚組でたくさんの収録曲がありますが、寺田さんの推し曲はありますか?
寺田「やっぱり1stアルバムの曲かな」
風間「1stがいいと、何度もおっしゃっていましたよね」
寺田「まず“LIFE IS SPIRAL”と“MOON RIDE -記憶への着陸-”かな。この2曲はつながりも最高ですよね。
あと2ndアルバムも、思っていたよりもすごくいいアルバムだったんだなって思いましたね(笑)。“20TH CENTURY FLIGHT”とか」
――Spiral Lifeの代表曲でいうと、個人的には“LIFE IS SPIRAL”“20TH CENTURY FLIGHT -光の彼方に-”、あと“MAYBE TRUE”に“Dream All Day”と“GARDEN”も外せないと思います。
寺田「そうそう、“GARDEN”も今回面白かったんですよ。“GARDEN”は当時ミックスをしたときにも、ちょっと面白いものが作れたなと思っていて。
あの曲は車谷と石田のギターが大きくてかつ細いという印象がずっとあったんですよ。だから今回ロー(低域)を伸ばそうと、もっとどっしりとしたものにしようと風間さんに相談して作ってもらったんです。それを家に持ち帰って聴いてみたら〈なんか違う〉と感じたんですよね。〈元の方がいいね〉ということになって……やっぱりああいうバランスの作品だったんだなと、つくづく感じたんです。ローを太くすればいいわけではなくて、上でガシャガシャやっているからカッコいいんだな、というのを感じた曲でした」
――他にも今回の作業で気になった曲はありましたか?
風間「4枚目(『OTHER SONGS & DEMO TRACKS』)が全体的に難しかったです」
寺田「あれはデモトラックやシングルのカップリングに入っていた曲があるからね」
風間「多分世界観の強い楽曲が多かったと思うんですよ。だからちょっと触るとすぐに曲のイメージや雰囲気が変わってしまって、すごく気を使いましたね。大変でした」
録音当時のエネルギーを何十年経っても聴ける音で
――リスナーの方に向けて、特に楽しんでほしいポイントがあれば教えてください。
寺田「みんなでわいわいと作っていた、90年代の楽しかったバンドサウンドを楽しんでほしいですね。今はバラバラで作っている感じがありますし、お家で作っている方々も多いですよね。だけど当時は合宿して作っていたんですよ。Spiral Lifeはほとんど山中湖のスタジオにこもってみんなで作っていたので、作品にエネルギーがある気がするんです。カレーばっかりだったけど(笑)、みんなで同じ窯の飯を食べながら、そして毎晩飲みながら……。レコーディング、ミックス作業もほんとに長かったんです。そういうものが伝わってくれたらいいなと思いますね。今聴くと新鮮に聴こえるかもしれないからね。
あとディスク2の『Spiral Move TELEGENIC 2』は、風間さんに音圧感を出してもらったんです。2枚目のアルバムというのは、一般的に気を抜きがちなんですよ(笑)」
風間「それは初耳でした(笑)」
寺田「1枚目はみんな一生懸命やるじゃない? だけど2枚目はぶつかり合うことも多いし色々あるんですよ(笑)。
それと今回のリマスタリングでは、音圧をつっこみすぎがちな現代のサウンドではなく、長きにわたって幅広い世代に聴いてもらえるような方向性にしたい、その上で今のサウンド感も投入したい、ということで、今の世代の若手エンジニアである風間さんの感覚が大事だったんですよ。今回彼女のいいエッセンスが入ったなと思います」
――それでいうと風間さんは当時のSpiral Lifeを知らなかったと思いますが、本作へ取り組むにあたり、どんなことに気をつけられましたか?
風間「そもそも今と当時では大前提が違いますよね。でも聴いたときに〈今でも受ける音楽性であることは間違いない〉という話はさせていただきました。
私はステレオワイドでハイもローも広い音への馴染みがあるんですよ。なので、Spiral Lifeの作品は当時の色んな制約で少しスピーカーの中に閉じこもった感じになったんだろうなと。それがどうやったらワイドにできるかな、ということを考えながらやらせてもらいました。でも広げて違和感があったら意味がないですし、台無しになっちゃうので、そこの乖離がないように寺田さんにご相談に乗っていただきながら気をつけてやりました」
――レーベルの方から寺田さんが監修するサウンドはまるで〈絹のような音作り〉だというお話もありました。最後になりますが、これまで大事にされてきたことがあれば?
寺田「さっきも言ったけど、今流行りの音というよりも何十年、何百年経っても聴ける音づくりですね。それは自分がレコードをずっと聴いているからというのもあります。1950年代のレコードは今でも全く遜色ない音で聴けるんです。そういう形でこれからもパッケージを記録として残していきたいですね」
――本日はありがとうございました。
取材協力:studio Chatri

■2023年12月11日追記
『A Generation of 1993-1996 ~ふたたび新しい旅に出る~』リリース延期のおしらせ
2024年1月17日(水)にリリースが予定されていたSpiral Lifeのデビュー30周年記念CD BOX『A Generation of 1993-1996 ~ふたたび新しい旅に出る~』は、制作上の都合によってリリースが延期されることとなりました。延期後のリリース日は2024年1月24日(水)です。それに従って、Tシャツプレゼントキャンペーンの応募期間も2024年1月16日(火)~2024年1月31日(水)23:59から2024年1月23日(火)~2024年2月7日(水)23:59に変更されました。 *Mikiki編集部
INFORMATION

リリース日:2024年1月24日(水)
品番:PROP-1070/4
ライナーノーツ:鹿野淳(MUSICA/音楽ジャーナリスト)、牧村憲一(元ポリスターレコード制作プロデューサー)
価格:16,500円(税込)
タワーレコード限定/数量生産限定盤
TRACKLIST
Disc 1
Further Along(オリジナル リマスター)1993/9/1オリジナルリリース
1. LIFE IS SPIRAL
2. MOON RIDE -記憶への着陸-
3. ANOTHER DAY, ANOTHER NIGHT
4. RASPBERRY BELLE
5. GOING UNDERGROUND -地下鉄でいこう!-
6. CHRONICLE -星のクロニクル-
7. THE ANSWER
8. TURN! TURN! TURN!
9. I DON’T BELIEVE -日曜日はタイクツ-
10. FURTHER ALONG -もっと遠くへ-
Disc 2
Spiral Move TELEGENIC 2(オリジナル リマスター)1994/7/20オリジナルリリース
1. THEME OF TELEVISION -テレビジョンのテーマ-
2. PEOPLE
3. (DON’T TELL ME NOW!) PLEASE PLEASE MR.SKY -空に鳥がいなくなった日-
4. LOCOMOTIVE
5. PHOTOGRAPH
6. 20TH CENTURY FLIGHT -光の彼方に-
7. JET BLACK -ハローマイフレンド-
8. BLUE RUBBER BALL
9. MYTHS OR PHYSICS?
10. IN ONE’S BOYHOOD -コーヒーカップで泳ぐ少年-
11. GRANADE (MONO MIX) -あの娘と地球-
12. WHERE’RE YOU FROM? WHERE’RE YOU GOING?
Disc 3
FLOURISH(オリジナル リマスター)1995/6/25オリジナルリリース
1. GARDEN
2. FLOWER CHILD -0113-
3. MAYBE TRUE (RON SAINT GERMAIN REMIX)
4. I SAW THE LIGHT -KALEIDOSCOPE WORLD-
5. STEP TO FAR
6. TRUST ME
7. DANCE TO GOD
8. CHEEKY
9. LET ME BE
10. HERSEE’S CHOCOLATE -BRASSED REMIX-
11. NERO
Disc 4: BONUS CD
OTHER SONGS & DEMO TRACKS
1. LOVIN’ SONG -コードネームは“G大作戦”-
2. GAME OVER -魅惑のモンキー・マジック-
3. LOVE AND HATE
4. 100MILES -裸足の100マイル-
5. DREAM ALL DAY
6. DUB WHITE
7. WHY DON’T YOU COME WITH ME?
8. INFINITY WITH YOU
9. I WISH
10. PLANET QUEEN
11. LIFE IS SPIRAL_Demo
12. MOON RIDE_Demo
13. ANOTHER DAY, ANOTHER NIGHT_Demo
14. RASPBERRY BELLE_Demo
15. GOING UNDERGROUND_Demo
16. THE ANSWER_Demo
※M11~M16の未発表デモ音源の曲順が変更となりました
Disc 5: BONUS CD
CLUB CIRCUIT ’93 & HALL CIRCUIT ’93 -FURTHER ALONG-
1. LIFE IS SPIRAL
2. MOON RIDE -記憶への着陸-
3. RASPBERRY BELLE
4. LOVIN’ SONG -コードネームは“G大作戦”-
5. CHRONICLE -星のクロニクル-(Acoustic ver.)
6. GOING UNDERGROUND -地下鉄でいこう!-
7. ANOTHER DAY, ANOTHER NIGHT
8. LOVE FLOWER
9. BLIND
10. LOVIN’ SONG -コードネームは“G大作戦”-
11. GAME OVER -魅惑のモンキー・マジック-
12. FURTHER ALONG -もっと遠くへ-
13. I DON’T BELIEVE -日曜日はタイクツ-
14. 100MILES -裸足の100マイル-
15. THE ANSWER
※M10“LOVIN’ SONG-コードネームは“G大作戦”-”はM4と重複しておりますのでカットになります。収録曲は全14曲となりますのでご了承ください
『A Generation of 1993-1996 ~ふたたび新しい旅に出る~』発売記念 Tシャツプレゼントキャンペーン

93年、デビューイヤーのライブツアー時に販売されていた記念すべき1stツアーTシャツを、30周年記念BOXセット『A Generation of 1993-1996 ~ふたたび新しい旅に出る~』の発売を記念して30着限定で復刻! ご購入いただいた方の中から抽選で30名様にプレゼントいたします。
※Sサイズ/Mサイズ/Lサイズご希望のサイズをお選びいただけます
応募期間:2024年1月23日(火)~2024年2月7日(水)23:59
応募詳細:https://tower.jp/article/feature_item/2023/10/25/0702
PROFILE: Spiral Life
93年、車谷浩司、石田小吉と結成。同年9月に1stアルバム『FURTHER ALONG』でデビュー。オリジナルアルバム3枚、ミニアルバム2枚、シングル7枚、映像作品6タイトルなどをリリース。ライブツアーなどを精力的に行う中、96年3月、横浜アリーナでのライブを最後に活動休止(=解散)。その後、車谷浩司はAIRを経て現在はLaika Came Backとして活動中。石田小吉(現、石田ショーキチ)はSCUDELIA ELECTRO、MOTORWORKS、ソロ、プロデューサーとして活動中。