本業はジャズピアニストにしてメタラー、そしてイングヴェイの熱狂的大ファンでもある西山瞳さん。メタル連載〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉の第89回は、ひさびさにイングヴェイ・マルムスティーンについて! 2024年の来日公演に行けず、悔しい思いをした西山さんが、視聴したライブアルバム『トウキョウ・ライヴ』について興奮を抑え切れない文章で綴ります。 *Mikiki編集部

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YNGWIE MALMSTEEN 『Tokyo Live』 Music Theories/NEXUS(2025)

 

昨年私は、私がメタルに目覚めるきっかけになった、ギター王者で永遠のヒーロー、イングヴェイ・マルムスティーンが2回も来日してくれたにもかかわらず、2回とも行けないという、とても辛い経験をしました。辛かった!

5月には名古屋・大阪・東京で、12月にはパシフィコ横浜でと、2回もあったんですよ。なんたる事態……

確か2回とも、2ヶ月前ぐらいの発表だったんですよ。

1回目

2回目

2ヶ月前は、さすがに厳しい……。

前作『Parabellum』(2021年)がネオクラシカル超特盛アルバムだったので、『Parabellum』の曲を目の前でパフォーマンスしてくれるのなら、見たいじゃないですか。見たいじゃないですか〜っ!

 

しかし、そこはファンとの対話を忘れない王者。ライブ盤としてリリースしてくれました。

ということで、2024年5月11日、Zepp DiverCity (TOKYO)の録音が、2枚組の『トウキョウ・ライヴ』という形で、6月18日にキングレコードから発売になります。

海外盤が先にリリースされており、2CD+DVDを購入して、DVDを堪能しました。

 

事前に収録曲のリストを見ると、一曲ごとの時間が短かったので、歌はワンコーラスあるいは無しの、ギターインストの時間が極大に多くなったイングヴェイ式短縮バージョン、きっといつものやつだなと思いましたが、それならやはり映像でパフォーマンスを見たいですよね。

それに加え、イングヴェイを見に行くお客さんを見たいから、映像を見たい。

毎回ライブに行く皆さんとは共有できていると思うのですが、〈イングヴェイに機嫌良く弾いてもらいたい!!〉という観客側からのライブ制作意識が、異様に高いのです。あれがいい。あの、ちょっとチーム感すら感じる空気。イングヴェイに機嫌良く演奏して欲しいという一心で客席が団結している。

他の国はどうかわかりませんが、日本でのイングヴェイ人気は何か面白いところがあって、昔から様々な雑誌で面白いインタビューが掲載され続けていますから、キャラクターとして総合的に愛している人が多く、包容力の高い方が多い気がしています。仕方ないなあ、いつもとセットリスト同じだろ、自分で歌うんだろ、とか言いながらも、行って全力で応援する。あの、皆で作っている感じが良いですね。

ありがたいことに、DVDはライブのフルセットが収録されています! すごい! ありがとう!

 

YouTubeのオフィシャルチャンネルで、その映像が曲ごとに沢山公開されているので、そちらをご紹介しながら進めます。

さすがの私も、音の洪水、ネオクラシカルの大渋滞、脂っこさでお腹がいっぱいになるので、大体15分ごとに休憩しながら見ました。