ポスト・ショスタコーヴィチ世代の巨頭、ガリーナ・ウストヴォリスカヤ。孤高の作曲家による交響曲全集がついにリリースされた。〈ハンマーを持った女性〉の異名どおり、苛烈なトーンクラスターと果てしない静謐の対比が生む緊張は、20世紀後半ロシア音楽史においても一際異彩を放つ。生涯に残した5つの交響曲はいずれも7~25分前後と小規模ながら、祈りのような沈黙と爆発的な音塊が交錯する濃密な世界だ。同郷のグバイドゥーリナやシュニトケ、同時代のフェルドマンの前衛とも異なり、その音楽はソ連の精神史に刻まれた忘れられたブラックボックスに触れるかのような感触を残す。