
メンバーそれぞれの世界観
――“fight/flight”はボカロPのOsanziさんによるバンギンなエレクトロ・ハウスで、SAEさんが作詞しています。
SAE「去年の3月頃にもふくさん(プロデューサーの福嶋麻衣子)から言われて挑戦しました。歌詞を書くにあたって与えられたテーマは、コロナ禍で感じたことも踏まえた〈感染〉で。楽曲がゲーム音楽っぽいので、そこからゾンビゲームを連想して、負の感情が連鎖して感染していくSNS社会で、ファンのみんなと一緒に戦って生き残りたい、というイメージで書きました」
NENE「この歌詞好き。私の歌割の〈僕の人生は僕のもの〉も大好きだし、〈神様は不平等に僕らを作るけど〉もマジそれって思った。曲名もいいよね。これは〈生きるか死ぬか〉ということなのかなって」
SAE「この曲名は、心理学用語で危機に瀕したときに自分自身に戦うか逃げるかを迫る〈闘争・逃走反応〉を英訳したもので。私は戦うのも逃げるのも正解だと思うけど、〈君と一緒に行きたい〉っていう意味を込めました」
――サクライケンタさん提供の“story, story”もアゲでヤバな一曲。
SAE「サクライさんが普段作られている楽曲とは全然違っていてびっくりしました。これも聴くほどクセになる曲。みんなで踊り狂ってほしい」
NENE「〈やば やば〉のところとか、ちょっと宗教みがあるもんね(笑)。私、SAEちゃんの〈聞いててよ〉のところが好き」
SAE「あれ、大変だった。セリフみたいな感じで何回も録り直して」
NENE「私もめっちゃ時間かかった。言葉を畳み掛けるところは地声と裏声を行き来しながら歌うように言われて、息が続かなくて。歌い方の引き出しを増やす勉強になりました」


――最後の“MEME THE WORLD”はNENEさん制作のトラックに、皆さんで詞曲を書いたミーム初の自己紹介ソングです。これは3月の〈世界〉公演で初披露されたものですね。
NENE「そのライヴに合わせて制作した曲で、最初はリリースする予定はなくて。RedBullの企画とかであるマイクリレーみたいなことをしたかったんですけど、どうせならメンバーそれぞれの世界観が伝わるものにしたくて、メンバーごとにトラックを作りました。SAEちゃんはピアノがたくさん入るボカロっぽい感じ、MEWちゃんはかわいいハイパーポップ、RITOさんもハイパーポップだけどかわいい感じではないもの。SOLIちゃんは爽やかな感じで、みつきちはかわいいヒップホップ。私はそのときCHICO CARLITOやWILYWNKAをよく聴いていたのでチルいヒップホップ。そのバラバラの楽曲を繋げて1曲にしたので、ミックスしてくれた人には頭が上がらないです(笑)」
SAE「NENEちゃんのパートになると、一気にフェスの夕暮れのいい時間帯みたいな情景が広がるんですよ」
NENE「ハートフルでピースフルな感じにしたくて。ちなみにこの曲はメンバーの加入順で歌う構成にしていて。まず最初からいる3人(RITO、MEW、SOLI)が1人ずつ歌って、3人でサビを歌って、そこから途中で加入したうちら3人(SAE、MITSUKI、NENE)がソロで歌って、最後は6人でサビを歌う。今回のツアーの〈物語〉にも掛けて、オープニングのキャラ紹介みたいなイメージです」
――まさにこれまでの物語と現在のミームらしさの詰まったEPになりましたが、ここからどのように感染を広げていきたいですか?
SAE「自分たちの中でも〈ミームトーキョーらしさ〉を模索し続けてきたのですが、今回のEPは改めて私たちの名刺代わりの作品になったと感じていて。フェスでも絶対に盛り上がる曲ばかりなので、大きいチャンスを掴めるようにがんばっていきたいです」
NENE「ロック系のイベントでもDJでも場を選ばずにできるのが自分たちの強みなので、どこに行っても〈いいじゃん!〉と思われるグループになりたいし、いろんなフィルターや固定観念をぶち壊していきたいです」
ミームトーキョーの近作を紹介。
左から、2023年のEP『MEMETIC INFECTION』、同年のアルバム『MEME TOKYO.』(共にMEME TOKYO/トイズファクトリー)
左から、trfの95年作『dAnce to positive』(avex trax)、STEAKAが参加した夢ノ結唱 POPYの2023年作『Infructescence』(ブシロードミュージック)、chelmicoの2022年作『gokigen』(ワーナー)、Osanziが参加したGUMIの編集盤『GUMIFUL!』(EXIT MUSIC PUBLISHING)