自身の本名にちなんだ9年ぶりのオリジナル・アルバム。その間も主演したビリー・ホリデイ伝記映画/サントラを含めて走り続けてきたが、それらを滋養としながら先行曲“Probably”に代表されるレトロ・モダンな美点をキープした滋味深い作品を完成させた。プロデュースは馴染みのバンド・メンバーやケヴィン・ランドルフらと行い、ワーレイ客演のヒップホップ調から実母が読む聖書の一節で終わる曲まで、ソウルとジャズとブルースの狭間を行き交う情熱的なヴォーカルで懐の深さを示す。エリカ・バドゥやディアンジェロを想起させ、キース・スウェット名曲のフレーズを交えるなどの小ネタも散りばめた充実作だ。