インタビュー

アース・ウィンド&ファイア、MISIA × 黒田卓也、アンドラ・デイ―〈Blue Note JAZZ FESTIVAL〉が一層気になる各アクトの注目ポイントをズバリ解説! Pt.1

Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2016特集:第2回

9月17日(土)に神奈川・横浜赤レンガ野外特設ステージで開催される〈Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2016〉(以下:BNJF)をMikikiで総力特集! フェスの概要を伝えた第1回に引き続き、ここからは2回に分けて、メイン・ステージとなる〈BIRD STAGE〉と〈DIZ STAGE〉に出演する6組の見どころを解説していく。 紹介役を務めるのは、去る8月に開催された〈BNJF〉のプレ・イヴェントでもトーク&DJで会場を盛り上げた、R&B/ソウルに精通する音楽ジャーナリストの林剛氏と、〈Jazz The New Chapter〉シリーズ監修の柳樂光隆氏。まず、この特集第2回では昨年の模様を振り返りつつ、〈BNJF〉のソウル/ファンク・サイドを担うアース・ウィンド&ファイアMISIA × 黒田卓也アンドラ・デイの3組をフィーチャーし、注目すべきポイントをそれぞれの見地から語ってもらった。 *Mikiki編集部

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(左から)柳樂光隆、林 剛
 

前回の〈BNJF〉の印象、今年楽しみなアクト

林 剛「去年はインコグニートスナーキー・パピーハイエイタス・カイヨーテが一緒に観られるということで足を運びました。このイヴェントはまずアクトの被りがなく観られるのが良いですよね。野外は2ステージだけだったから、大した移動もなく観られるっていう」

柳樂光隆「僕はグラスパーやハイエイタスあたりが目当てで。グラスパーがパット・メセニーと一緒にやったり、スナーキー・パピーのステージをグラスパーが袖から観ていたりとか、そういうところも観られて。あれは凄い光景でしたよ。あと、横浜は海の近くでいいですよね」

「今年のラインナップもそうですが、流石ブルーノート・ジャパンが企画しているだけあって、一流のフェスだなというのはすごく思いますね。観る前から確実に間違いないパフォーマンスを披露してくれるアーティストを呼んでいるというのは、去年も今年も一緒だと思います」

柳樂「大物と若いアーティストのバランスも良いし」

「今年は、アース・ウィンド&ファイアも楽しみですけど、一番はアンドラ・デイですかね。初来日というのがやっぱりデカイと思います。あと、ジョージ・ベンソンのライヴを僕は一回も観たことがないんですよ。彼は来日してもディナー・ショウ価格で観るような、敷居の高いアーティストじゃないですか。それがこれだけのメンツが集まるなか、フルでライヴが観られるというのは大きい。年配の方でベンソンのステージを観たことがある人は多いかもしれないけど、いまの20代はもちろん30代、40代でも観ている人って、熱心なファン以外はいないんじゃないかな? 柳樂さんは観たことあります?」

柳樂「僕はジョージ・ベンソンだけじゃなく、今回のラインナップはほとんど観たことがないんです。観たことあるのはゴーゴー・ペンギンと黒田卓也ぐらい。やっぱり楽しみなのは黒田卓也と一緒にやるMISIAですね。黒田さんとやるんだったらブラック・ミュージック感の強いステージが観られるんじゃないかなと」

「まあ“つつみ込むように”で出てきた時はR&B感が強調されていた人ですからね」

MISIAの98年のデビュー・シングル“つつみ込むように”

 

MISIA × 黒田卓也

「デビュー時のインタヴューを読むと、MISIA自身は、自分でブラック・ミュージック、R&Bをやっている感覚がそれほどなかったみたいで。12インチにリミックスが収録されたりしたこともあって、そういう方面からの人気が上がった感じだったと思います」

柳樂「へぇー。そういう意識を持つ前にデビューしちゃったって感じですよね」

「彼女はもともとゴスペルを歌っていたんですよね。だからわりと感覚が黒人に近いというか。ブラック・ミュージックの知識も当然あると思うんだけど、日本人としてR&Bを歌っているというスタンスではなくて、ゴスペルを歌い続けていたら自然にそういう曲を歌っていた、という感じで。だからいまNYで自然体でジャズをやってらっしゃる黒田さんと組むのは、非常にスムースで良いなと思いますね」

柳樂「おっしゃる通りですね。黒田さんも教会でゴスペルを演奏していた人ですから」

「それこそBIGYUKIさんも教会でセッションをしていたことによって、いろんなことを学んだと話をしていましたよね」

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柳樂「日本にはそういうカルチャーがないですもんね」

「(MISIAが) “His Eyes On The Spallow”というゴスペルの名曲を定番で歌っていたと聞いた時に、由緒正しいというか、ゴスペルの基盤がある人なんだなと思いましたね。映画『天使にラブ・ソングを2』から影響を受けたらしいのですが」

柳樂「黒田さんは世代的にエリカ・バドゥなんですよね。MISIAは和製メアリー・J・ブライジ的な感じだったじゃないですか。だから(黒田のほうが)世代的にちょっと前で、意外な組み合わせとも言えますね」

「エリカ・バドゥといえば、MISIAのカヴァー企画集(2004年の『~MISIA RESPECT ALBUM~ EVERYTHING』)というのがあって、KC&ジョジョとかいろんな人がMISIAの曲をカヴァーしているんですけど、そのなかでエリカが“Everything”を歌っているんですね。これは当時フリークエンシーというユニットでエリカを支えていたジェイムズ・ポイザーと、オマー・エドワーズという2人のキーボード奏者が参加していて、バック・ヴォーカルにザップ・ママ、ラップ入りのヴァージョンにはコモンが客演している。それを踏まえて、今回はエリカ・バドゥ版の“Everyhing”をMISIAが歌い直す形で披露するんじゃないかとか、勝手な期待が膨らむんですよね」

柳樂「いまのジャズは全体的にそうだけど、黒田さんの音楽にもネオ・ソウルの要素がありますもんね」

「だから僕がこの2人の組み合わせを聴いた時にピンときたのは、この“Everything”なんですよね。あと、MISIAに“Over Bit”(2002年作『KISS IN THE SKY』収録)という曲があるんですけど、それはわりとホーンが入っているので、それを黒田さんに吹いてもらえると嬉しいな。ちなみに、それがリリースされた当時のツアーでのオープニング曲が“Over Bit”だったんですよ。ドラムに青山純さん、キーボードに重実徹さんという、山下達郎さんのバンド・メンバーもいた。最近のMISIAはアフリカを支援する慈善活動なんかも行っていて、その流れもあってか曲自体もスケールが大きくなってますよね」

MISIAの2016年作『LOVE BEBOP』収録曲“Butterfly Butterfly”
 

柳樂「なので今回は、初期のようなR&B感のあるMISIAが観られるといいですね」

「ちょうど黒田さんも新作(『Zigzagger』)をリリースされたんですよね。だからMISIAが必ずしも主役というわけではなく、彼女がバック・コーラスに回りつつ、黒田さんの曲をやることもあり得ますよね。そんな場面にも期待したいです」

柳樂「“Think Twice”(アンティバラスをフィーチャー)、ceroとやってる“Zigzagger”もコーラスが入っているし。あと、黒田さんの前作(2014年作『Rising Son』)でホセ・ジェイムズが歌っていたロイ・エアーズの“Everybody Loves The Sunshine”とかね」

※オリジナルとは別に、ceroを招いたリワーク版を日本盤ボーナス・トラックとして収録

「強引にMISIAのアフリカ路線と関連付けるなら、黒田さんには“Afro Blues”という曲もありますよね」

柳樂「新作もアフリカっぽいんですよ」

「じゃあ、そういった面でも結び付くんじゃないかな」

黒田卓也のニュー・アルバム『Zigzagger』収録曲“R.S.B.D”
 

柳樂「黒田さんはアンティバラスと仲が良いし、アコヤ・アフロビート・アンサンブルっていうNYのバンドにも参加したり、アフリカ系のラッパーとも交流がある。だからNYのアフリカ・コミュニティーと結構近いんです。そういうところでも接点があるかもしれないですよね」

「あとMISIAは、2010年に南アフリカで行われたFIFAワールドカップの公式アルバムに唯一の日本人として参加していて、“MAWARE MAWARE”という曲を歌っていましたよね。だからアフリカと黒田さん、MISIAさんは親和性が高いというか。ちなみに、今回はメイン・ステージの〈BIRD STAGE〉での出演かと思ったら、もう一方の〈DIZ STAGE〉なんですよね。MISIAは日本ではスタジアム規模のライヴをやってる人じゃないですか」

※『Listen Up! The Official 2010 FIFA World Cup Album』。シャキーラジョン・レジェンドR・ケリーピットブルらが参加

柳樂「それを考えると凄いですよね。最前で観られたりしそう」

「だから、いかにこのフェスの海外出演者のビッグネーム感が凄いかということですよね。大ヴェテランが多いということなんですけど」

柳樂「しかも、MISIAの単独公演を観るのと同じくらいの値段で行けちゃう!」

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