札幌から登場した若きエレクトロニック・デュオによる初フル作は、デビュー・アルバムにして大胆な飛躍を刻み付けた一枚となった。これまで〈ニューウェイヴ〉や〈テクノ・ポップ〉といったタームと共に紹介されがちだった彼女たちだが、ここではより広範な射程を持った野心的なサウンドを展開している。冒頭を飾る“Michi-tono-Sogu”の緻密なプロダクションから聴き手は一気に引き込まれるだろう。インダストリアルからブリストル・サウンド、フットワークまでを横断するビートと優美で不穏な音響、そこに幽玄な歌唱が乗ることで生まれるポップネス。攻め切ってブレイクスルーを掴んだ感のある快作だ。