12月。師走。スウェット1枚だけで過ごせていた快適な時期も過ぎて、苦手なアウターを羽織らなければいけない季節になった。着膨れした自分の姿を鏡で見て、納得いかないまま家を出る毎日だ。

 仕事を終えた後の帰り道、真っ暗な空を眺めながら、今年も終わるんだな、と不意に寂しくなることが毎年のようにあるけれど、実は2024年はそんなことを思う暇もなかったくらいに忙しない年末だった。ライヴもたくさんできたし、ステージ以外でファンの皆さんと交流できる機会も豊富にあった。1年間を通しても去年よりも絶え間なく活動をすることができ、一瞬で過ぎていったように思うし、いままで生きてきたなかでいちばん未練が少なく新年を迎えることができる予感がする。

LAUSBUB 『ROMP』 極東テクノ(2024)

 怒涛の1年間を振り返ってみると、LAUSBUBさんの“80+1 Hardy Ones”がふと頭をよぎった。約7分半のハードコアテクノで、渋谷のサーキット型フェスのトップバッターであったLAUSBUBさんのライヴで初めて耳にした時、衝撃を受けて頭から離れなくなった曲だ。

 重厚な機材たち、ギター、ベース。音を作ることだけに全力が注がれ、ステージに漂っていた緊張感はどんどん伝播していき、ライヴ会場は彼女たちの創り出す世界観の色に染まりきっていた。

 主にラップや歌、そして合間の煽りなどでフロアにいる皆さんとコミュニケーションを取ろうとするような私たちのライヴスタイルに慣れてしまっているからか、少しピリリとした厳かな雰囲気のなか、落ち着いて音を楽しむことができる空間が新鮮だった。ただ、深夜のライヴハウスで聴いたらムードは一変し、自由に踊れるような曲になりそうなコミカルさもあっておもしろい。

 とにかくカッコいい音楽に触れることができた。来年もこういった新しい出会いがたくさんある一年になれば素敵だ。

 


【写真と文】hana:8人組のHIP HOPユニット、lyrical schoolでMC/ヴォーカルを担当。lyrical schoolでは現体制での初作『DAY 2』(ビクター)に続き、“dance”が配信中。ライヴ盤とminanのソロ新曲もmiim限定でリリースされています! 2025年の予定などの最新情報は〈https://lyricalschool.com/〉にて!