77年に細野晴臣の制作でテスト盤が作られるもお蔵入りとなった幻の作品がアルファ55周年を機に公式発表された。主役は当時無名ながら後にダイナスティに参加するニューオーリンズ出身のシンガー。細野に山下達郎、吉田美奈子、矢野顕子、佐藤博が作曲し、周辺の名手たちをバックに英語詞で歌われた曲はマリーナ・ショウのブルーノート盤にも通じていながら日本的に解釈された洒脱で芳醇なクロスオーヴァー・ソウルといった趣がある。山下が自演し、笠井紀美子も日本語詞で歌った“Love Celebration”など大半が関係者を中心にリメイクされたことも語り草。シティ・ポップの種を蒔いたと拡大解釈したくもなる逸品だ。