2024年末の特別企画として、タワーレコードのスタッフが選ぶ2024年マイベストレコードをお送りします。各店舗や本社のスタッフが、今年のアナログレコードの個人的なお気に入りを選んでコメントしました。同趣旨の〈2024年マイベスト邦楽アルバム〉〈2024年マイベスト洋楽アルバム〉も、ぜひあわせてチェックしてください。 *Mikiki編集部

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任(渋谷店)

佐藤博 『オリエント』 キティ(1979)

2024年だけでなく、恐らく人生の中で一番驚いたレコードかもしれません。

名盤『awakening』もちろん素晴らしいですが、このアルバムのサウンドクオリティも非常に抜群で、さらにオリエント要素が巧妙に織り交ぜられています。毎回聴く度に新しい発見があり、細かく聴くと〈あ、ここはオリエントの表現だな〉と感じられ、聴き続けるうちに、耳も心も満たされ、佐藤博さんの世界にどんどん引き込まれます。

まず、1曲目のカリンバの音を聴いた瞬間、〈あ、これヤバいかも〉と感じ、すぐこのアルバムの凄さが分かりました、そして、洋楽寄りの気持ち良い演奏とメロディー、シンセを使いながらオリエンタルなフックを巧みに演出しています。

今の時代、そしてこれからの時代においても、間違いなく名盤だと思います。ロマンチックでありながら、東方的な雰囲気を融合させたサウンド作り、とてつもない演奏、シンセの使いこなし、サウンドとミックスの高い完成度は本当に心を魅了します。2024年に出会えて本当によかったと思いました。

 

三橋俊弘(東浦店)

TAMTAM 『Ramble In The Rainbow』 PPU(2024)

アンビエントやレイヴの精神性抜きで音のテクスチャー、バランス、雰囲気を持ったクラブミュージックが2020s以降に流行ってるな、おもしろいなと思っていたけど、まさかバンドでアンビエントな音像を意識的に鳴らしている作品に2024年のいま、出会えるなんて。

重度のBandcamp Weeklyファンに届くかたちで紹介されるべく海外レーベルからレコードオンリーでの発売形態。注意深く歌詞に目を向けたら雰囲気だけとはとても言えないけれど、音で勝負する世界基準のバンド、作品なのは間違いない。そんな堅苦しい説明、気負いを微塵も感じさせない5曲をとにかくリピートして、山、雲、わたし、あなたが溶けてゆく世界に今日も没入したい。

 

小畑雄巨(神戸店)

BLANKEY JET CITY 『BANG!』 ユニバーサル(2024)

ブランキーファンは何よりも先に今回のアナログ化シリーズを聴いてほしい。

レコーディングされた本来の音を可能な限り再現したという前評判から、かなり期待して聴いてみたけれど、期待以上どころか衝撃的なまでに音が違う。サブスク解禁されてから毎日聴いていたけど、“Rain Dog”のイントロの全員が入ってからの厚みが凄いし、達也のスネアとかはしっかりと胴が鳴ってるし、最初から最後まで感動しっぱなしだった。現在アナログ化されている他3作ももちろん素晴らしいが、個人的には今回、本作が最も感動的だった。

ブランキー伝説の幕開けとなる名盤2nd。こんな濃密でワイルドでロマンチックなロックは他にない。

2025年もアナログ化は続く。