90sヴィジュアル系のリバイバルを掲げるバンド、色々な十字架。メンバーはtink(ティンカーベル初野、ボーカル)、kikato(タカユキカトー、ギター)、tacato.(ナカネタカト、ギター)、misuji(イトウリョウ、ベース)、dagaki(金子タカアキ、ドラムス)の5人で、2023年にファーストアルバム『少し大きい声』をリリースして以降、ライブの規模も広げ、(エイプリルフールの嘘から始まったにもかかわらず)キャリアを着実に重ねている。

そんな色々な十字架が、〈本物のヴィジュアル系バンド〉としての覚悟を決めて(!)制作に臨んだというセカンドアルバム『1年生や2年生の挨拶』を完成させた。今回はライターの藤谷千明が、11月23日開催の東京キネマ倶楽部でのワンマンライブを控えていたメンバーたちにアルバムについてインタビューした。 *Mikiki編集部

色々な十字架 『1年生や2年生の挨拶』 元気で笑顔が輝くレコード(2024)

 

挨拶が大きければ何でもいい

――2020年4月のエイプリルフール企画からスタートした色々な十字架ですが、2枚目のフルアルバム『1年生や2年生の挨拶』をリリースするまでに至りました。アルバムタイトルは、どなた発案なのでしょうか?

tink「私です。2月頃に〈アルバムをリリースしたい〉とウルトラ・ヴァイヴさんに相談して。そこで〈11月を目処に〉という話になったので、カレンダーを確認したら11月13日が〈あいさつの日〉だったんです。どこかの団体が取り決めたらしく、それを見て〈いいじゃん!〉って」

kikato「今検索したところ、一般社団法人日本あいさつ検定協会でした」

tink「色々な十字架は挨拶ネタが多いですから。挨拶が大きければ何でもいいみたいなところがある。そういうこともあって〈あいさつの日〉からインスピレーションを得ました」

――色々な十字架の自主レーベル名も〈元気で笑顔が輝くレコード(GEKR)〉ですしね。

misuji「他にも候補はありました。たとえば、〈朝や夜の挨拶〉、〈送迎の挨拶〉、〈うるさ挨拶〉……。〈ごぼう〉、〈ぶどう〉、〈親子すずめの宿なりけり〉だとか」

――後半、〈挨拶〉から離れていませんか。

misuji「あとは〈大丈夫〉なんてのも」

――反対に心配になりますね。最終的に『1年生や2年生の挨拶』になった決め手は?

tink「ファーストアルバム『少し大きい声』からのつながりというか、親和性のあるタイトルがいいなと」

――〈声〉から〈挨拶〉へ。

kikato「その意味では〈とびきり元気な会釈〉も候補としてあったね」

misuji「俺、それ結構好きや」

tink「ジャケットに花の写真を使っているので、〈ごぼう〉や〈ぶどう〉だと、〈ごぼうの花?〉みたいな印象を与えてしまうかもしれませんし。あと、ひらがなの短い言葉より、漢字が入っていた方がデザイン的に締まるかなと」

――そこまで考えられたタイトルだったんですね。