もう大人だからギターと違うフレーズのベースを弾いてほしい
――続いての“かなり耽美(決定)”はフレーズ自体が初期からあるアカウント名でもありますね。
tink「ファーストワマをやる際に、曲を作ったはいいものの、歌詞のモチーフに悩んでしまって。アカウントで掲げてるし、ここで使っちゃおうって思って、軽い気持ちで……。
当時はここまで活動するって思ってなくて。この曲はリファレンスが明確すぎるんですよ。まずはDIR EN GREYの“Schweinの椅子”だし、リフはNCT127の“英雄; Kick It”のイントロと一緒なんです。〈みんな気づくかな?〉みたいな遊び心で入れて」
――リファレンスが明確な場合、どうアレンジしていくのでしょうか。
kikato「なんかもうなし崩し的に……」
tacato.「ライブで育った曲というか」
kikato「デモを作ってないはず」
tacato.「スタジオでシステム・オブ・ア・ダウンの話が出たよね」
misuji「もう大人やから、ギターと同じことをやるわけじゃなくって、ギターの裏で違うリフを弾いてほしいって言われた気がする」
――「もう大人」?
misuji「こういう曲を作り始めの頃って、ギターとベースのフレーズが同じだったりするんですけど、もう大人なんで、1歩先に行ってほしい……みたいな」
tacato.「でもそういうの作る人たちも多分20代だよ」
tink「オレら、成長遅いから」
空も飛べるはず
――“汗拭きシートで冬来けり”、トラップから始まるこの曲は新境地と呼べるのでは。
tink「同世代のヴィジュアル系バンドも当たり前のようにラップやトラップを楽曲に取り入れていますし、ヴィジュアル系の歴史を紐解いても、ヴィジュアル系 × ラップ的なミクスチャーの名曲はたくさんある。自分も(ミクスチャーが)好きだけど、そういったものとは別のアプローチを試してみたかったんです。なので、デモのタイトルは〈ノーミクスチャー〉です!」
――それは面白い話ですね。
tink「前半はK-POP、とくに(G)I-DLEの“MY BAG”と、音は“MY BAG”がリファレンスにしているであろうサウィーティーの“Best Friend (feat. Doja Cat)”の要素を取り入れました。リスナーがそこまで辿り着いてくれるかどうかが楽しみです。
後半、歌になっていくのは、ちゃんみなの“美人”に着想を得ています。『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』を観てて、課題曲の“美人”を聴いて〈いいな〜〉と思って。そして後半はDIR EN GREYに……。そんなふうに色々ミックスしてますね」
――ライブでは披露するのでしょうか?
tink「まだやったことないです」
dagaki「アルバムに向けて作った曲なので」
tacato.「こういう実験的な曲も、むしろヴィジュアル系っぽいと思うんですね。DIE IN CRIESの最初のアルバム(1991年リリース『NOTHINGNESS TO REVOLUTION』)とか、めちゃめちゃ実験的でわけわかんなくて、大好きなんです」
kikato「BUCK-TICKの“神風”とかも」
tacato.「『darker than darkness -style 93-』のBUCK-TICKっぽさもある」
tink「インダストリアルというか、その頃のBUCK-TICKっぽい音を入れたいなって話してました」
――歌詞についてお伺いしてもいいですか?
tink「汗拭きシートでタマキンを拭くと、空、飛べるんですよ。それのマニアの曲っす」
tacato.「端的にいうとドMっていう」
tink「おそらく、“かなり耽美(決定)”の人ではないかなと。裸で自転車乗ったりしてるし、つながってる気がします」