THE ROOSTERSのライブアルバム『The Basement Tapes~Live at Shibuya eggman 1981.7.14. 1st show』『The Basement Tapes~Live at Shibuya eggman 1981.7.14. 2nd show + Rehearsal』がCDとLPでリリースされた。オリジナルメンバー4人による伝説的ライブを捉えたこの2作は、圧巻の演奏を聴くことができる貴重な音源。バンドに再び注目が集まっているなか発表された両作を、編集者/ライターの荒野政寿に紹介してもらった。なおシリーズ第2弾のリリースも控えているので、あわせてチェックしてほしい。 *Mikiki編集部
ありのままに記録された若々しくパンキッシュな演奏
昨年の全アルバム配信に続いて、今年はシングルの配信、そして今井智子が歴代メンバーと関係者に取材したインタビューブック「ルースターズの時代 THE ROOSTERS AND THE ROOSTERZ」の発売が実現。さらにTHE ROOSTERZの“Good Dreams”が井上竜太監督の同題映画でテーマ曲に起用されるなど、話題に事欠かない結成45年のアニバーサリーイヤーを送っているTHE ROOSTERS/THE ROOSTERZ。
この流れに乗って、1981年7月14日、渋谷エッグマンでのライブ音源がCD/LPの2フォーマットで、タワーレコード限定商品として発売された。この日の音源は2003年に『THE BASEMENT TAPES~SUNNY DAY LIVE AT 渋谷EGG MAN 1981.7.14』と題した2枚組CDにまとめられたが、今回は1stショウと2ndショウ+リハーサルを2枚に分割、アナログ盤化は今回が初で、ロンドンのアビー・ロード・スタジオでカッティングが行なわれている。
1979年に北九州で結成されたTHE ROOSTERSは、1980年11月に1stアルバム『THE ROOSTERS』を発表。精力的なライブ活動を経て、1981年6月には早くも2ndアルバム『THE ROOSTERS a-GOGO』をリリースした。今回発売された2枚のライブ盤は、その翌月の公演を録音したもので、若々しくパンキッシュな演奏がありのままに記録されている。
上り調子なバンドの勢いが凄まじい
『The Basement Tapes~Live at Shibuya eggman 1981.7.14. 1st show』の冒頭を飾るのは、『THE ROOSTERS a-GOGO』に収録されていない未発表曲“EVERYTHING’S GOES ON”。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド“We’re Gonna Have A Real Good Time Together”の1969年ライブバージョンを下敷きにして書かれたと思われるこの曲は、次作『INSANE』(1981年11月)での深化を予感させる、示唆に富んだ楽曲だ。
ボ・ディドリーのカバー“MONA (I NEED YOU BABY)”は1stアルバムや1980年のライブバージョンが基本的にボ・ディドリー・ビートを守っていたのに対し、ここでは荒々しい高速ビートのアレンジに更新されており、上り調子にあるバンドの勢いが凄まじい。
花田裕之(ギター)が歌うドクター・フィールグッドのカバー“SHE DOES IT RIGHT”も本家を上回るハイスピード。猛烈かつスリリングな演奏をビシッと成立させている柱は、無敵のリズム隊=井上富雄(ベース)+池畑潤二(ドラムス)だ。
ジョナサン・リッチマンの影響が顕著なバラード、“GIRL FRIEND”はシングルバージョンのアレンジ。この3日後にNHK「レッツゴーヤング」を収録した際も同じアレンジで演奏しており、その日の映像はボックスセット『VIRUS SECURITY』(2004年)に収められたDVDで確認できる。