控えめでいて頼もしい─。

ブルースやソウル・ミュージックを背景に、その指先から埃っぽいロックンロールを鳴らし続けてきたギタリストであり、ボーカリストであり、プロデューサーであり、ソングライターでもある三宅伸治。

1987年に3ピース・バンド、MOJO CLUBのフロントマンとしてデビューし、同バンドの休止後も、忌野清志郎らとのリトル・スクリーミング・レビューや、自身のリーダー・バンドであるMIYAKE SHINJI & THE TRAMP、SHINJI MIYAKE & NASHVILLE CATS、さらにはソロ活動、さまざまなレコーディング・セッション/ライブ・サポートなどでその個性をぐいぐいと前に押し出してきた彼だが、それでもその印象は、控えめでいて、頼もしい。オラオラと出しゃばる人ではなく、半歩ぐらい下がった立ち居振る舞い。それはたぶん、いちばん愛される人、の典型的なタイプなのかも知れない。

そんな三宅伸治という懐の深いミュージシャンのデビュー30周年を祝って、彼をリスペクトし続けるミュージシャンたちが一堂に会したトリビュート・アルバム『ソングライター』が編まれた。

30周年にかけて総勢30組という破格のトリビュート・アルバム、その面々は同世代のザ・クロマニヨンズをはじめ、BEGIN、フラワーカンパニーズ、YO-KING、斉藤和義、山崎まさよし、桜井和寿、ゆず、ウルフルケイスケ、TOSHI-LOW、KenKen、グループ魂の暴動、竹原ピストルら後輩たち、そして仲井戸"CHABO"麗市、鮎川誠、有山じゅんじ、花田裕之、木村充揮、金子マリら先輩たちまで。

三宅の楽曲ならびに彼がプレイヤーとして魂を注いだ楽曲を思い思いにカバーしているが、なかでも、参加アーティストのなかから21人のボーカリストがマイク・リレーし、三宅もギター/コーラスとして交わる“JUMP”(忌野清志郎の2005年作『GOD』より)がハイライト。その微笑ましく感動的なシーンを体験すれば、三宅伸治というミュージシャンがどれだけ愛されているのかがきっと伝わってくるはずだ。