8月にアルバム『暴動クラブ』をリリースし、渋谷CLUB QUATROでのワンマンライブも成功させた暴動クラブが、年を跨がないうちに1st EP『撃ち抜いてBaby,明日を撃てLady』を届けてくれた。1960年代のR&B、ガレージ、プロトパンク的な音楽性に振り切り、サウンドもアナログヴィンテージ機材による当時のやり方の再現性プラスアルファにこだわったアルバムに対し、タイトル曲はその荒々しい魅力を残しつつ、パワーポップ創世記を思わせるメロディオリエンテッドな方向性に向かっている。カバー曲も、ロックンロールとポップの間に橋を架けるような浜田省吾の“あばずれセブンティーン”をチョイス。作品全体として暴動クラブの新たな魅力を味わうことのできる内容に。今回はバンドのフロントマンである釘屋玄に、アルバムリリース後の活動の流れやEPに込めた想いについて、話を訊いた。
僕らがカッコいいと思う音楽は現在進行形で輝ける
――8月7日に1stアルバム『暴動クラブ』をリリースして、同月末にバンド史上最大キャパの渋谷CLUB QUATTROでワンマンを行いましたが、振り返ってみて感触はどうでしたか?
「『暴動クラブ』は曲も音も、1960年代のビート音楽に振り切った内容だったので、ライブのお客さんも、そういった時代の音楽に精通した方々が多いんだろうなと思っていたんですけど、意外とそうでもなくて、僕らがカッコいいと思ってやっていることが、現在進行形でカッコいいものとして輝ける可能性を感じられたことが嬉しかったですね。
でも、それで一区切りついたとか、何かを成し遂げたとか、そういう感覚はなくて。ワンマンが終わってから早い段階で今作の制作に取り掛かりましたし、ライブもたくさんありましたし」
――いまだに興奮冷めやらぬ、みたいな?
「いえ、単純にやることがいっぱいあるなあって。いつ頃までに曲作らなきゃとか、あのライブに向かってどんなことをしようかとか」
――アルバムを出してまたすぐにEPをリリース。そして制作中の曲もたくさんあるわけですよね? ビートルズやローリング・ストーンズ、昔とはベクトルは違いますが現代のキング・ギザード&ザ・リザード・ウィザードやタイ・セガールも、とにかくたくさん作品を出している。そういうロックンロールやガレージロックの系譜が重なったのですが。
「当時の音楽業界の事情とか、アーティスト単体が考えていることとか、いろいろあると思うので、彼らと僕らが同じ気持ちかどうかはわかりません。ただ、曲を作り溜めて1年にアルバム1枚、もしくはそれよりも長いスパンで出すよりは、思い立ったらすぐに作ってすぐに出す。それをかなえられる環境がありがたいですね」