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Salyuはトリビュート盤をどう聴いた? 本人の言葉も交えて、全18曲を解説!

新しいYES 桜井和寿
原曲よりバンド感を増した桜井版は、爽やかな疾走感と力強さが幕開けにピッタリの一曲に。「今作のタイトル〈grafting〉には、大切なものを受け継ぎながら新しい生命を吹き込むという意味を込めましたが、〈新しいYES〉はそれを象徴するワード。そんな作品の精神性を、強く高らかに響かせてくださった桜井さんの歌声。その存在感や頼もしさに感動の一言です」 。

HALFWAY milet
アコースティックなオリジナルに対し、milet版はハープやフルート、ストリングスが重ねられた贅沢な仕上がりに。当人の柔和な歌声も素敵。「miletさんが“HALFWAY”を歌ったデモテープがディレクターさんの耳にとまり、それがデビューへと結びついていったそうなんです。彼女のバックグラウンドでもあるフルートも今回、ご本人が吹いてくださっています。miletさんによる新しい息吹によって楽曲が瑞々しく甦ったかのようです」 。

Dialogue(ダイアローグ) VK Blanka
透明感のあるトロピカル・ハウスとなったビッケブランカ版。だが、原曲の持つ憂いはしっかりと滲む。「ビッケさんとはこれまで面識がなかったんですが、このトリビュート盤の制作の話をどこかで耳にして、〈参加したいと〉逆にオファーをいただいたのです。トラックも歌の質感も本当に素晴らしくて、アルバムの音楽的な幅を広げてくれた影響力のある一曲です」 。

アラベスク 青葉市子 × 岩井俊二
青葉市子と岩井俊二がコロナ禍のTV番組で披露したカヴァー音源は、アコギとピアノと青葉の独り言のような歌声のみ。リヴァーブの効いた幽玄な音世界が広がっている。「〈コロナ禍だったからこそ、いまでは決して出せない音と間合いがあった〉と彼女も表現されていました。どこまでも美しい響きの世界。青葉さんの音楽家としての凄さが伝わってきます」 。

Dramatic Irony 山内総一郎(フジファブリック)
山内版では、隙間を活かした演奏だからこそのエモーションが浮き彫りに。「〈時間の経過〉をおもしろく表現してくださったと思って。生々しくて、アート的。破局の歌なのですが、時間の気怠い経過であったりとか、突然やってくる激しい思いだったりを、フジファブリックらしい佇まいで表現してくださってるなあって」 。

風に乗る船 MONGOL800
MONGOL800は、多彩なヴォーカル・スタイルで長閑なスカ版を構築。「本当にチャーミングです。スカはSalyuや小林さんの音楽にはない要素だし、私の作品からは絶対に聴こえてこない強さやあったかさがある。キヨサクさんの歌はやっぱりエモいなあって」 。

landmark 安藤裕子
エコーの彼方から聴こえる悲痛ながらも強い多重ヴォーカルと深みのあるピアノの音色。安藤版はより重厚感のある仕上がりに。「安藤さんは深く美しい世界観を持ってる方。役者としての側面もあるから、声の響かせ方だけじゃない歌唱表現というか、セリフのような感覚で言葉が強く入ってくるんです。そこにハッとさせられます」 。

アイニユケル 木村充揮
日本屈指のブルース・シンガーは、アコギとピアノだけを伴って参加。穏やかなしゃがれ声が沁み渡る。「制作をご一緒した経験などはないのですが、木村さんは私が本気で弟子入りしたいと思ってきた方。つまり大尊敬していて、大ファンなんです。私、木村さんの歌を聴くと泣いちゃうんですね。木村さんが歌うとふわりと浮かび上がる心象風景に、夕日の赤や海の青、いろんな色を見せてもらうんです」 。

プラットホーム 中納良恵
中納のソロらしい柔らかな音像のエレクトロニカ。重声とスキャットがスピリチュアルな宇宙を立ち上げる。「この曲は映画『地下鉄(メトロ)に乗って』の主題歌。作品自体は悲しみもある切ないお話なんですが、中納さんはそこにハッピーの解釈も加えてくださった。人との巡り合いを宇宙の旅として描いてくださった印象で、パラレルワールドや美しいスピリチュアリティーを感じます」 。