その歌が世界に放たれて20年……歩みを祝福するトリビュート・アルバムが登場。
豪華18組が愛を寄せた2枚組には、いくつもの〈新しいYES〉が芽吹いている!!!
岩井俊二の監督映画「リリィ・シュシュのすべて」に登場する架空のシンガー・ソングライター、Lily Chou-Chouとして、みずからの歌を初めて世に解き放ったのは2001年。その後、同名のバンドでも活動を共にすることとなる小林武史のプロデュースでソロ・デビューを飾って以降のSalyuは、その柔軟な感性を宿した歌唱でさまざまな形態の作品やステージに挑戦し、聴き手を魅了してきた。そんな彼女がこの6月でデビュー20周年を迎え、記念のトリビュート・アルバム『Salyu 20th Anniversary Tribute Album “grafting”』を発表。これを機に、当人から20年の道程を振り返ってもらった。
座って、じっくり耳を傾けて
――ソロ・デビューから20周年。振り返ってみていかがですか?
「濃厚な体験を積ませてもらった20年という印象です」
――マイルストーンとして思い浮かぶ作品や出来事はありますか?
「ターニング・ポイントだったと思うのは、2008年に発表したベスト・アルバム『Merkmal』です。それまでは、お客さまにスタンディングで楽しんでいただくパフォーマンスを当たり前としてきたけど、『Merkmal』をきっかけに、座ってじっくり耳を傾けてもらえるような、そんな空間を作っていきたいと思うようになりました。子供の頃にピアノや合唱団の発表会で感じた音楽の心地良さを思い出すようになったんです。そして、私の活動にもっとも影響を及ぼしたのは〈ap bank fes〉だと思います。イヴェントを通じて、さまざまなアーティストさんとステージに立ち、共に歌わせていただきました。私一人では決して叶えようのない、かけがえのない機会でした」
――では、20年のうちで、〈これは挑戦だったな〉と振り返られるトピックは?
「salyu × salyuですね。自分のバックグラウンドがヒントとなって立ち上がったコーラス・プロジェクトで、楽しく取り組みましたが、技術的なところでは力を付けるべきこともたくさんあって練習にも時間をかけました。でも声によって生み出される〈ハーモニー〉、その魅力を追求することのできた、とても楽しい場でした。演出してくださったプロデューサーの小山田圭吾さんにも心から感謝してます」