(左から)三船雅也、Salyu
 

皆さんご無沙汰しております。久しぶりの熊戦記です、コロナ2年生のこの時間まぁ僕たちはずっと戦ってばっかりいるので戦記はたくさんあるのですが、その中でも誇るべきストーリー、今回のスペシャルゲストはSalyuさんです。

思えば中学生の頃、彼女の歌声を聴いて何か今まで聴いてきた音楽と違う、この人は何か違う歌声の持ち主なんだと素人ながらに感じていた多感な10代の三船はその数年後にこうして共演するなんて思ってもみなかったのです。その時空を超えて音楽を作り続けている彼女や哲学、最新の彼女の姿を浮き彫りにする2021の熊戦記どうぞお楽しみ下さい。 *三船雅也(ROTH BART BARON)

 


ROTH BART BARONが、ゲストアーティストとその日限りのセッションを繰り広げる〈HOWL SESSION〉。今回は、東京・丸の内COTTON CLUBを舞台にシンガーSalyuを迎えての開催となる。ジャンルも世代も異なる両者だが、どちらも〈声〉の持つ可能性を追求しながら唯一無二のサウンドスケープを築き上げてきただけに、今回のセッションがどのようなケミストリーを生み出すのか、今から楽しみでならない。すでに何度かミーティングを重ね、いよいよ本番に向けてのリハーサルに入る直前のROTH BART BARON三船雅也とSalyuに、お互いの音楽性に対する印象や、今回のセッションに向けての意気込み、コロナ禍で変化した〈表現〉への向き合い方などじっくりと語り合ってもらった。

 


思春期の三船に刺さったSalyuの歌声

──まずは今回、〈HOWL SESSION〉のゲストにSalyuさんを迎える三船さんの心境から聞かせてもらえますか?

三船雅也「僕にしてみればSalyuさんは〈雲の上の存在〉で。まさかご一緒できるなんて思ってもいなかったです。最初にSalyuさんの音楽に出会ったのは中学生の時。いつも最新の音楽を教えてくれていた当時の友人が、僕のためにミックスMDを作ってくれて、その中にデビューしたばかりのSalyuさんの楽曲が入っていたのを覚えています。

最初に聴いたのは確か”彗星”(2005年)だと思うんですけど、一瞬で〈この人の声、やべえな!〉と思いました。そこから自分でも掘るようになったのですが、例えば“VALON-1”を聴きながら通学バスで高校へ通っていたときの景色など、今も鮮明に浮かんできますね」

Salyuの2005年作『landmark』収録曲“VALON-1”
 

Salyu「嬉しいです。実を言うと、今回のお話があったときはまだROTH BART BARONのことを存じ上げなかったんです。でも、オファーを頂いてから周りの音楽仲間に〈ROTH BART BARONって知ってる?〉と尋ねたところ、みんな当たり前のように知っていたんですよね。〈え、知らないの? やばいよ〉と言われ(笑)、慌てて音源をチェックさせてもらいました。もう、1曲聴いた時点でその素晴らしさが伝わってきましたね。そして聴けば聴くほど〈一緒にやりたい!〉という思いが強くなっていきました」

──ROTH BART BARONの曲で、お気に入りを1曲あげるとしたら?

Salyu「どれも魅力があって1曲に絞るのが難しいのですが、強いて挙げるなら“けもののなまえ”(2019年)かなあ。それか“焔”ですね。三船さんの歌声はもちろん、言葉やアレンジ、そこに落とし込まれている音響の全てが尊敬に値します。とりわけ“焔”は、三船さんの歌唱の繊細な表現など聴くたびに感動する。ビブラートも本当に素晴らしくて……。他にも挙げたらきりがないほど好きな曲はたくさんありますね」

三船「恐縮です!」

ROTH BART BARONの2019年作『けものたちの名前』収録曲“けもののなまえ”“焔”