藤井 風にとって2024年は例年以上に激動の1年だった。新曲2曲を配信リリースし、日産スタジアムでの単独公演のほか、アメリカとアジアをそれぞれ回るツアーを開催するなど国内外で活躍した。今では〈日本を代表するアーティスト〉ではなく、〈世界と対等に渡り歩く音楽家〉と形容したほうがしっくりくるかもしれない。
そんな藤井 風の2024年を3つのキーワードで紐解いてみた。2025年へと続く、藤井 風の血と涙が滲んだ道のりを改めて振り返る。 *Mikiki編集部
〈アメリカ〉を魅了した2024年
今夜放送される「第75回NHK紅白歌合戦」に3度目の出場が決まっている藤井 風。今年は映画「四月になれば彼女は」の主題歌として書き下ろした“満ちてゆく”を披露するとのことだが、地上波の生放送で彼のパフォーマンスが見られる機会は大変貴重だ。録画や配信などで後日見る方もいると思うが、紅白ならではの熱狂はなるべくリアルタイムで体験したいものだ。
2024年、藤井 風を語る上で外せないキーワードを3つ挙げてみたいと思う。1つ目は〈アメリカ〉。2019年には正式なメジャーデビュー前にもかかわらず〈武者修行の旅〉としてニューヨークへと渡った経験もあるが、今年5月から6月にかけて〈Fujii Kaze and the piano U.S. Tour〉と題した初のアメリカツアーを開催した。念願だったアポロ・シアターでの公演を成功させるなど、エンタメに対して肥えた目と耳を持つ現地の観客を魅了した。
アメリカツアーを終えた直後には、2022年にTikTokを通じてグローバルヒットした“死ぬのがいいわ”がアメリカレコード協会(RIAA)からゴールド認定を受けたことも話題となった。同楽曲は、当初はタイをはじめとした東南アジアを中心に拡散されたが、その後は南米やアフリカ、北米からヨーロッパ各国まで波及するなど、日本のポップス=J-POPが世界に通用することを証明してみせた。
また、日本のコンテンツではあるが、アメリカの公共放送NPR(National Public Radio)の人気企画〈tiny desk concerts〉の日本版〈tiny desk concerts JAPAN〉の第1弾アーティストとしてパフォーマンスを行った。この模様はNHKの国際放送NHK World JAPANを通じて世界放送されたのち、現在では本国アメリカのNPRのYouTubeチャンネルで全編を視聴することができる。なお、藤井 風によるパフォーマンス動画は本記事執筆時点(2024年12月30日)で1300万回以上再生されており、この映像を介して彼の存在を知った人も世界各国にいるはずだ。