〈女性版BIGBANG〉として2009年にデビューしたYGエンターテインメント発の4人組、2NE1。K-POPの新地平を切りひらきながら国際的に活躍、2016年に解散した。その後、2022年にコーチェラ・フェスティバルにサプライズで出演し、2024年には日本公演を含む復活ライブをおこなって本格的に活動を再開させている。

そんな2NE1の復活が話題になる中、いわゆる第2世代のアーティストがK-POPにもたらした変化の大きさが語られる機会も多い。そこで今回は、G-DRAGONとBIGBANGの功績を振り返ってもらった前回のコラムに続き、K-POP番長こと音楽ライター・まつもとたくおが第2世代の影響を解説する。 *Mikiki編集部


 

2NE1の復活で思い出す〈あの時代〉の高揚

約10年ぶりの来日公演〈2024 2NE1 CONCERT [WELCOME BACK] IN JAPAN〉を昨年末に行い、成功裏に終えた韓国発のガールズグループ、2NE1。ファンたちは、久しぶりに大きな舞台に立つ4人のメンバーの姿を見て、あの時代のK-POPの高揚感と躍動感を思い出したに違いない。

あの時代とはK-POP第2世代と呼ばれるアーティストが全盛期だった頃だ。主に東方神起が登場した2000年代半ばから、少女時代やKARAが国境を越えた人気を得るようになった2010年代初頭までを指す。

〈〇〇世代〉という表現は、K-POPが海外で広まっていく時期に使われだしたもので、第1世代はこのジャンルのパイオニアであるH.O.T.とS.E.S.あたりとされており、現在はILLIT、BOYNEXTDOOR、RIIZEといったグループを中心とした第5世代が活躍中だ。それぞれの世代が果たした役割は大きいが、なかでも第2世代はローカル向けの音楽が世界仕様に変わる過程で貢献したアイドルがたくさんいるため、今もなお高く評価されている。

 

ガールクラッシュの先駆けになった2NE1

その筆頭格と言えるのが、前述の2NE1である。最近リリースされた彼女たちのベストアルバム『WELCOME BACK』には、歴代のヒットソングや名曲がずらりと並ぶが、冒頭に“I AM THE BEST”と“UGLY”を収めているのが興味深い。

2NE1 『WELCOME BACK』 YGEX(2024)

前者は硬質なエレクトロビートに乗りながら〈私がいちばんイケてる〉〈どんな比較も私はお断り〉と力強く歌い、後者は〈私はどうしてこんなにもブサイクなのか〉〈ただ彼女のように可愛くなりたい〉と、軽快なサウンドとともに本音を吐露する。こうした相反する気持ちは、ルッキズムが比較的強いとされる(K-POPシーンも含む)韓国の社会ではリアルに響き、特に同世代の女性の共感を得たのは想像に難くない。

特に“I AM THE BEST”が切りひらいた路線は、2014年にデビューしたMAMAMOOが踏襲し、〈ガールクラッシュ〉と呼ばれるスタイルに昇華された。以降はITZYやBLACKPINKなどの後進たちに受け継がれて大きな潮流になっている。