初めてジョージ・ケーブルズを聴いたのは渡辺香津美の『ロンサム・キャット』だった。以来、アコースティックとエレピの両方をリリカルでアーシーなタッチで弾き分けるピアニストとしてフレディー・ハバードやアート・ペッパー等との演奏を貪るように聴いた。特に彼のフェイザーを効かせたエレピに痺れた。故マルグリュー・ミラーの一つ前の世代でありながら演奏のどこかに新しさを感じさせる何かを滲ませるベテランだった。80歳で現役、この新録でNYのシーア・サウンド・スタジオのオールド・スタインウェイを素晴らしい音で響かせる。スタンダード中心の選曲も味わい深い。あらためて聴いて故ジュリ・アレンのタッチに似ていると思った。