指揮のヨハネス・クルンプは、トーマス・ファイ指揮でハイデルベルク交響楽団が開始したハイドン交響曲全曲録音を引き継ぎ、最終走者の役割を担い完成させたことが記憶に新しい。その芸風はファイが烈しい表現で血湧き肉躍る演奏を繰り広げたのに対して、クルンプは旋律をしなやかに歌わせて、心地よい落ち着いたリズムを生み出すことに成功していた。モーツァルトでは、すでに40・41番が発表済みだが、今作の初期作品では一層愉しさが増した音楽となっている。それは評価高いアダム・フィッシャー指揮によるモーツァルト交響曲全集にも劣らない出来栄え。中でも第6番が良さが伝わる。