その演奏スキルが神業とまで謳われたマイクロコルグを封印して挑んだ新作は、フライング・ロータスやシネマティック・オーケストラのライヴ・メンバーとしても信頼を得る彼のマルチ奏者としての素晴らしき腕前を改めて浮き彫りにする、アナログ機材フルスロットル導入の逸物に。しなやかなリズムと揺らめく音像が絡み合って夢心地のドライヴ感を醸し出す先行シングル“Draft Culture”を筆頭に、中性的な自身の歌声も交えながら、ガラス細工のように煌びやかで繊細な音響を人肌の温もりで描いていく。豊かなグルーヴを孕んだダンサブルな楽曲を軸にしつつ、全篇通して〈音浴〉にもってこいの心地良い耳当たりで、夢の深淵にゆっくりゆっくり落ちていくような終曲“Tried (Now Tired)”は息を呑む美しさだ!