バーミンガム市交響楽団の日本公演でシェクが弾くエルガー“チェロ協奏曲”とアンコールで自身が編曲したボブ・マーリー作品を耳にして、豊穣な音色と音楽性にすっかり魅了された。弦を弾くピチカート一つも生命力を宿して聴き手に自然に浸透する。シェクはショスタコーヴィチの“チェロ協奏曲”第1番をすでに録音していた。続く今作でより深遠な第2番に取り組んだ。カップリングのブリテンのソナタと共に名チェリスト・ロストロポーヴィチのために書かれた作品だが、先人の演奏家を意識するがために十字架を背負うような暗いものになることなく、大空に羽ばたくように奏でている。