フジロックとサマソニが閉幕し、今年の夏もまもなく終盤戦――という認識は、はるか昔のこと。10月頃まで長引くようになった暑さの影響で、夏の気配はまだまだ消えそうにない。そんな夏の暑さが残る9、10月にかけて、涼やかな空気を感じられる2組の女性シンガーソングライターの来日公演を紹介したい。

常に全盛期のジュリア・フォーダムが最新作を引っ提げ来日
まず取り上げたいのが、2025年9月29日(月)にビルボードライブ東京、翌30日(火)にビルボードライブ横浜に登場するジュリア・フォーダムの公演だ。前回2023年の来日時は、1989年に放送されたフジテレビ系ドラマ「ハートに火をつけて!」の挿入歌“Happy Ever After”のリリース35周年を記念したステージを披露したが、今回は最新アルバム『Earth Mate』(2024年)を引っ提げてのセットになるという。
ジュリアの略歴などは以下の記事に任せるとして、やはり今回のライブに向けては『Earth Mate』をじっくりと聴き込んでから臨んでほしい。
ジュリアといえば、聴き手を包み込むふくよかな歌声が最大の持ち味だ。先日63歳を迎えた彼女のボーカルは、歳を重ねるごとに瑞々しさが増しており、前述した“Happy Ever After”などデビュー初期の作品では張り上げるように歌うものも多かったが、今ではよりフォーキーな音楽スタイルに舵を切ったこともあり、厚みのある低域を活かした歌唱が板に付いてきたようだ。
そうした安定感と安心感のあるジュリアのボーカルを『Earth Mate』では存分に堪能することができる。アルバム冒頭に置かれた“Home (If That’s What Love Is)”では豊かなピアノの調べと透き通ったコーラスの上で歌い、続く“Chair On The Porch”ではUKフォーク界のレジェンド、ゴードン・ギルトラップの12弦ギターに乗せて優しい歌声を聴かせる。
また、アルバムの先行シングルであるミドルテンポのナンバー“My Old Table”では、ポップスの成分をふんだんに含んだ高域部分も耳を引く。今回のビルボードライブ公演では、常に全盛期とも言えるジュリアの様々な歌声を聴くことができるはずだ。
なお、ライブ直前の9月10日(水)には『Earth Mate』の来日記念盤もリリースされるので、ぜひこの機会にフィジカルのほうもチェックしてもらいたい。