豪華メンツの多彩な曲をペット・ショップ・ボーイズがリミックス! 二人のダンス哲学が満載された『Disco 5』で踊り明かそう!
新春に開催されるフェス〈rockin’on sonic 2026〉にヘッドライナーとして出演を控え※、それに続いて単独公演も決定しているペット・ショップ・ボーイズ(以下PSB)。40年を超えるキャリアにおいて独自のポジションを築き上げてきたポップ・アクトとしての凄みは、ダンス・ミュージックとしての強度も増しながら、年を経ることにいよいよ揺るぎないものになっているわけで、最新オリジナル作『Nonetheless』(2024年)のヒットも経た今回の来日はまさに待望ということになる。そんなタイミングに合わせて〈FOREVER YOUNG〉シリーズでパーロフォン時代のオリジナル・アルバムが一挙リイシューされるのと同時に、最新タイトルにあたるリミックス・アルバム『Disco 5』も日本盤でリリースされた。
※ニール・テナントが体調不良のため出演キャンセルとなりました
言うまでもなくPSBとダンス・ミュージックの関係はその登場時から深い。もともと初作『Please』リリースの半年後に届いたシリーズ最初の『Disco』(86年)は、アーサー・ベイカーやシェップ・ペティボーン、ラテン・ラスカルズらが手掛けたPSB楽曲のリミックス集という位置付けだった。当初の彼らのオリジナル作は同時代のクラブ・ミュージック的な機能性にそこまで力点を置いていなかったこともあり、本人たちの志向を補完する試みとしても重要だったと思われる。それに対して94年の『Disco 2』が出る頃にはポップ・アクトのリミックス展開も普通のことになっており、そこでは当時のハウスの盛り上がりを反映してデヴィッド・モラレスやジュニア・ヴァスケスらの王道系を迎える一方、UKのヘラー&ファーリーやフェイスレス結成前のロロも起用した同作は、最大のポップ・ヒット作『Very』のスケールをダイナミックに拡張するものとなった。
さらに2003年の『Disco 3』はリミックスと未発表曲が混在する内容に変化し、フェリックス・ダ・ハウスキャットやスーパーチャンボらを迎えたエレクトロやトランスと83年に制作していたボビーOのカヴァー“Try It”などが隣り合う格好に。そして、2007年の『Disco 4』では企画の主客が逆転し、PSBがリミキサーとして手掛けたキラーズやデヴィッド・ボウイ、マドンナらのトラックを並べたリミックス・ワーク集となった。それから18年ぶりに届いたシリーズ最新弾『Disco 5』も、近年のPSBリミックス/プロデュース・ワークから全12曲をコンパイルした内容となっている。
ズラリと並んだトラックは名前だけでも豪華絢爛だ。ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズの“Think Of A Number (PSB Magic Eye 12-inch Remix”やプライマル・スクリームの“Innocent Money (PSB Remix Radio Edit)”、ヒドゥン・カメラズの“How Do You Love? (PSB Remix)”はそれぞれの近作収録曲をリミックスしたもの。ポール・ウェラーやクラップトーン、ヴォルフガング・ティルマンスのトラックもここ数年の成果となる。また、ティナ・ターナーの84年作『Private Dancer』収録曲をエレクトロ化した“Hot For You Baby (PSB Hot Mix)”も同作の40周年記念に合わせた2025年の仕事。オリー・アレクサンダーを迎えたPSB楽曲“Dreamland”のセルフ・リミックスやソフト・セルとの共演曲“Purple Zone”のPSBリミックスもあるし、スリーフォード・モッズによるカヴァーをさらにPSBがリミックスした“West End Girls”(2023年)もおもしろい。配信のみだった初フィジカル化のトラックも多く、その意味でも必携だ。
また、コンパクトのポップ部門から出たサム・テイラー・ジョンソンのシングル曲“I’m In Love With A German Film Star”(2008年)はPSBのレアなプロデュース仕事だし、プロデュース曲ではヒット映画のサントラ『The Crying Game』(93年)で手掛けたキャロル・トンプソンの“Let The Music Play”も収録。こうして一望すると、彼らの新旧の仕事が時代のリヴァイヴァル風潮なども絡みつつ時流を超越したものとして響いているのがよくわかるのではないだろうか。
ペット・ショップ・ボーイズの近作。
左から、2024年作『Nonetheless』(x2/Parlophone)、シングルの音源と映像をまとめたボックスセット『Smash: The Singles 1985-2020』(Parlophone)
ニール・テナントが参加した近年の作品を一部紹介。
左から、カシスデッドの2023年作『Famous Last Words』(XL)、ジョニー・マーのライヴ盤『Look Out Live!』(BMG)、ケイ・テンペストの2025年作『Self Titled』(Island)、マーク・スプリンガー+ニール・テナント+サッコーニ四重奏団の2025年作『Sleep Of Reason』(Sub Rosa)
『Disco 5』収録曲のオリジナル音源を収めた作品やオリジナル・アーティストによる作品を一部紹介。
左から、ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズの2023年作『Council Skies』(Sour Mash)、ティナ・ターナーの84年作の40周年記念盤『Private Dancer (40th Anniversary Edition)』(Parlophone)、クラップトーンの2021年作『Closer』(Different)、ソフト・セルの2022年作『Happiness Not Included』(BMG)、ヒドゥン・カメラズの2025年作『Bronto』(Motor)、ヴォルフガング・ティルマンズの2022年作『Moon In Earthlight』(Fragile)、プライマル・スクリームの2024年作『Come Ahead』(BMG)、2026年1月16日にリリースされるスリーフォード・モッズのニュー・アルバム『The Demise Of Planet X』(Rough Trade)

