TVアニメ「メダリスト」の第2期が2026年1月24日(土)より放送される。つるまいかだの同名漫画を原作とした同アニメは、第1期のオープニングテーマを米津玄師が担当したことでも話題となった。アニメ第2期のオンエアを前に、原作を何度も読み返しているMikiki編集部の小田淳治が「メダリスト」の魅力を再考した。

なお、本記事ではアニメ第1期までの内容と、放送前に明かされている第2期のあらすじや登場キャラクターについてのみ触れていく。 *Mikiki編集部


 

「メダリスト」は〈人の成長そのもの〉を描いた作品

ちょうど1年前にアニメ第1期の放送がスタートした「メダリスト」。第1期では、フィギュアスケートに魅了された主人公の結束いのりと、彼女を全身全霊でサポートするコーチの明浦路司との出会いから、2人が6級のバッジテストに挑むまでが描かれた。その続きとなる第2期では、2人が全日本ノービスの出場をかけて中部ブロック大会に挑戦、いのりを含めた15名の個性豊かなスケーターたちによる氷上の戦いがいよいよ幕を開ける。

「メダリスト」以外にもフィギュアスケートを題材にした漫画やアニメはこれまでにもあった。特に近年最も話題を集めたのはアニメ「ユーリ!!! on ICE」で、実際のフィギュアスケートファンからも多くの支持を集め、大きなムーブメントを生み出すことに成功した。

「ユーリ!!!〜」と「メダリスト」は主人公がフィギュアスケーターとしてコーチと共に成長し、数々のライバルとしのぎを削りながら頂点を目指していくという、物語の骨格となる部分は共通している。唯一両作品で大きく異なるのが、主人公の年齢、そして成長の過程の捉え方だ。「ユーリ!!!〜」の主人公、勝生勇利はすでに23歳でフィギュアスケートの特別強化選手。片やいのりは物語の冒頭ではフィギュアスケートをやりたい気持ちはあるが、その思いを母親に伝えられずにいる内気な小学生。「ユーリ!!!〜」では世界各国のスケーターと戦うために勇利が成長していく姿にも感銘を受けたが、「メダリスト」の場合はスケーターとしてだけでなく、純粋に子どもが人として成長していく過程も描かれていくのだ。「メダリスト」は単なるフィギュアスケートを扱った作品ではなく、〈人の成長そのもの〉に重点を置いて描いている作品と言えるだろう。

また、「メダリスト」が多くの人を惹きつけてやまない理由として、コーチである司の存在も大きい。高校に進学してからようやくスケートをはじめた司は、そのスタートが遅かったハンデを少しでも埋めるべく死に物狂いで練習の日々を送る。なんとかアイスダンスで全日本選手権に出場するまでの実力を身につけるが、結果としてスタートの出遅れが響き、24歳で現役を引退してしまう。そんな暗い過去を持つ司がコーチとして成長する姿は、いのりに負けないぐらい我々の胸を締め付けてくる。

さらにもう1つ、2人の関係性で心震える瞬間がある。それはいのりの言動が核心を突く場面だ。例えば、名港杯を経験したいのりが発した「私はそれ(スケートを遅くはじめたこと」を諦める理由に絶対にしない〉という一言を受けて、司はよりいっそう彼女をメダリストにしてみせると決意する。名港杯でいのりはベストなパフォーマンスを披露するものの、最終的には2位に終わってしまうのだが、大会を通して多くの気づきを得るのだった。それが上記の言葉に繋がっていくのだが、いのりの言葉と眼差しは司だけでなく我々にも向けられているように感じるのだ。

 

米津玄師のバトンを受け取ったHANAが歌う“Cold Night”

そんな一言では片づけられない2人の関係性を、米津玄師は“BOW AND ARROW”という曲で見事に表現した。アニメ第1期のオープニングテーマである同楽曲は、原作ファンだった米津がアニメ化に際して逆オファーするような形で制作した曲。自身の立場や年齢的にいのりではなく司サイドに立った米津の歌詞は、〈人の成長そのもの〉を描いた「メダリスト」の作品世界と強く共鳴した。

そして米津のバトンを受け取り、アニメ第2期のオープニングテーマを務めるのがHANAだ。2025年の「NHK紅白歌合戦」で米津のパフォーマンスにサプライズ登場したことも話題の彼女たちだが、「メダリスト」の新たな主題歌を担当すると聞いたときは驚いた。と同時に、中部ブロック大会が描かれる第2期にはピッタリだとも思えた。HANAはオーディション番組を経て選ばれた7人であり、その出自は、同じ競技においてライバルであり、また仲間でもあるといういのりたちにも通じるところがある。

HANAは第2期オープニングテーマの“Cold Night”について、〈どれだけ転んでも何度だって 立ち上がって突き進めば絶対夢は叶うと 信じてるし私たちHANAはそんな人たちの 背中を全力で押していきたいと思っています〉とコメントを寄せている。すでにラジオなどではフルサイズ解禁されているが、ギターリフと7人のボーカルが並走するミドルチューンはどこかU2の“Where The Streets Have No Name”を連想させる。HANAが“Cold Night”で「メダリスト」とどのように共鳴するか、アニメの放送が今から楽しみだ。

HANA 『Cold Night』 MASTERSIX FOUNDATION(2026)

最後に、アニメ第2期で登場する新キャラクターについても軽く触れておきたい。八木夕凪などいのりのライバルとなる選手たちも魅力的だが、おそらく「メダリスト」ファンであれば岡崎いるかの登場に歓喜しているはず。フィギュアスケート連盟が選出する強化選手Aの1人であり、将来が期待される高校生スケーターだが、実は彼女を巡る物語は競技の明暗を読者に伝える上で非常に重要となってくる。また、今後いのりにとっても大切な存在となっていくだけに、彼女には特に注目しておいてもらいたい。

「メダリスト」は〈人の成長そのもの〉を描くとともに、フィギュアスケートの生々しい現実も丁寧に描いている。その点については、アニメでモーションキャプチャーを担当した鈴木明子(鈴木は振付も担当)と本郷理華のインタビュー映像を見てもらえばより伝わるだろう。 アニメ第2期、そして2027年に控える劇場版へと続く「メダリスト」の物語は、きっとあなたの心を熱くさせるはずだ。