
未完成で美しい子どもの姿を捉えたジャケットとMV
――レコーディングはいかがでしたか。
「一度レコーディングをして、後日聴き直したらちょっと違っていたので再レコーディングしました。〈どうして泣いているの?〉なんかはそうですね。あとは、〈右、左、選択してる〉の部分。最初は〈右、左、選択をする〉だったんです。でもそうすると、勢いが落ちてしまって。なので発音した時の空気の音で速度を出すために〈選択してる〉に変えました」
――細かな部分まで調整しながら完成させていった、と。
「はい。自分で歌詞を書いている時点で世界観があって、頭の中では〈こういう人が走り回っている〉とか〈信号待ちをしているのは子ども〉とか、でき上がっているんですね。その時に自分はどの目線で歌うかを想像しながら歌詞を書いているんです。それをレコーディングで表現していく、というイメージですね」
――今出していただいた〈子ども〉というワードで、ジャケット写真が思い浮かびました。
「そう、そう。ジャケ写にはそういう意味も込められていますし、あとは青さも表現しています。〈未完成である美しさ〉みたいなものですね。子どもって夢や希望のような眩しい言葉を、何もせずにそこにいるだけで体現してくれますよね。“ULTRA”にぴったりだなと思って、この写真にしました」
――MVにも子どもたちが登場しますもんね。
「子どもたちが走っている画が撮りたくて。それと楽曲の疾走感を落とし込みたかったのと、壮大な画があって、最終的には自分たちの思いが宇宙に届くということを表現したくてああいったMVを作りました。
でも大変でしたよ。当日までどんな絵になっているかわからなかったですし、そもそも雨が降ったらどうしようと思っていましたし。子どもたちはいろいろ描きだしたり、汗でびしゃびしゃになりながら遊びだしちゃったり(笑)」

ウイスキーはタイムトラベラ
――MVも必見ですね。では2曲目の“タイムトラベラ”についても聞かせてください。“ULTRA”とはまったく違う雰囲気の楽曲ですが、どんな流れで誕生したのでしょうか。
「この曲も藤家くんと作ったのですが、ライブが終わった後に〈シティポップっぽい曲を作ってみない?〉という話になり、藤家くんもシティポップの曲をあまり作ったことがなかったのでやってみようということになりました。
僕からリファレンスにする楽曲をいくつか出して、藤家くんがデモを作ってくれて。聴いてすぐに〈藤家くん、これタイトル決まったわ。“タイムトラベラ”だ〉って(笑)」
――なぜ(笑)!?
「この楽曲と僕が持っている〈タイムトラベラー〉のイメージがぴったりだったんです。というのも、タキシードを着ているお爺さんが店員でいるウイスキーバーに行ったことがあって。僕、ウイスキーには全然詳しくないのですが、何杯か飲んでいるうちにその店員さんが〈これは100年以上前のウイスキーなんですよ。しかも海も越えて来ていて。ウイスキーってタイムトラベラーなんですよ〉と言われたんです。〈うおー! これはすごいぞ〉と(笑)。
なので、最初は〈ウイスキーはタイムトラベラ〉というタイトルが僕の中にあったのですが、〈ウイスキー〉というワードがもしかするとリスナーを狭めてしまうかもしれないと、〈タイムトラベラ〉だけ残しました。そこから頭の中でファンタジーを作り出して歌詞を書いていった流れですね」
――すごい。日常が曲になっているのですね。
「だって、お爺さんがそんなかっこいいことを言うからさ(笑)」
――(笑)。でも“タイムトラベラ”の世界観に合うエピソードです。
「ですよね。シティポップとウイスキー、タイムトラベラって近くていいなと思いました。
そこからこの世界にはどんな人物がいるんだろうと考えて。この曲はあえて男性、女性、どっちが歌っているかわからないようにして、タイムトラベラなのでどんな場所を旅してもいい設定にしました。なので、〈月の輪郭の上/座って街を見下ろし君が言う〉という歌詞を急に入れてみたりもしました」
――なるほど。情景が思い浮かぶ歌詞ですが、スムーズに書かれたのですか?
「ずっと書いているわけではないですが、書き出してから3〜4日でできたと思います。でも、書き出すまでが遅いんですよ。締切から逃げているから(笑)。夏休みの宿題もギリギリでやるタイプでしたもん。でも、書き出したら割とすぐ書けますね。ダラダラ書いていると余計わけがわからなくなってしまいますから。頭の中でストーリーができたら、それを書いていくだけです」