良いバランスの入門編
そして最多の5曲を手掛けたのが山本。彼がフルートの腕前も披露した夜行性シティ・ポップ“Velvet Mirage”、前作で初導入された北川と兼子のフレットレス・ギター/ベースのまろやかな音色を活かしたDEZOLVE流アイランド・ミュージック“Coastal Vibes”、ブラス隊を迎えつつ4人の妙技がぶつかり合う“Groovity”、D-50やDX7の実機を持ち込んで80年代後半のリッチな音を再現したバラード“When the Light Returns”が並ぶなか、耳を引くのがゲーム音楽への愛に満ちた“Pixel ∞ Mind”だ。山本と友田、北川は昨年Nintendo Switch 2の人気作「マリオカート ワールド」の一部BGM編曲と演奏を担当。その経験がインスピレーションになったと語る。
「僕らは4人とも大のゲーム好きなので、そのルーツを前面に出してみようと思って、あえてピコピコした8ビットの世界観とフュージョンを融合させました。キャラクター選択画面のSEから、ダンジョン突入、勝利のファンファーレ、エンドロールを経て、〈強くてニューゲーム〉のようにイントロへ戻る、まるで一本のRPGをプレイしているかのような構成にしています。中盤のギターとキーボードが火花を散らすバトル・シーンは、ライヴでは別のメンバーでの対決もできますし、ギミック満載でいろいろと遊び甲斐のある曲になりました」(山本)。
メンバーも「これまでのテクニックの寄せ集めでもなく、かといって難解さを捨てたわけでもない。非常に良いバランスで〈いまのDEZOLVE〉を詰め込んだ、僕らにとっての入門編に相応しい一枚になりました」(山本)と太鼓判を押す本作。この〈音の書庫〉を入り口に、DEZOLVEとフュージョンの奥深い世界に足を踏み入れてみてはいかがだろうか。
DEZOLVEの作品。
左から、2016年作『DEZOLVE』、2017年作『SPHERE』(共にVEGA Music Entertainment)、2018年作『PORTRAY』、2019年作『AREA』、2020年作『Frontiers』、2023年作『CoMOVE』、2024年作『Asterism』、2025年のライヴ映像作品『10th Anniversary Concert』(すべてキング)