
信州で出会える神々しい〈天使たちのはしご〉
――“Shooting Star”は先ほどお話しいただいたきました。5曲目の“アルプス一万尺”は、誰もが子供の頃に歌ったことがある曲ですね。
伊佐津「〈『小槍の上で』を『子ヤギの上で』と思って、子供の頃に歌っていたと、ベースの平石さんがSNSで投稿していて、私も同じだ!と(笑)。それがこの曲をやりたいと思ったきっかけです。歌詞にも穂高や梓、大正池など信州に関連した言葉がいくつもあるため、まさに信州ゆかりの曲だ〉と思っています」
帆足「リハーサルで掛け声の〈ヘイ!〉をつい言ってしまい、ならば、ライブでやったらどうなるだろうと、お客さんを巻き込む楽しい曲になっています」
坂上「アレンジ的にはこれまでなかったラテン風味を混ぜた、ジャズサンバっぽい曲で、さゆりさんのピアノにもモントゥーノの要素が入っています」
――6曲目“もみじ”は、小学唱歌ですよね。
坂上「そこから入るの?みたいなイントロの独自性は、さゆりさんの手法のひとつ。アルプスもそうだし、この“もみじ”もイントロだけ聴くと、新曲かなと思えてしまう。こういうカバーが混ざっているのも信州ジャズブランドだと思います」
伊佐津「イントロ、間奏、エンディングにもメロディックなフレーズを作るのが私のスタイルかな。そこだけを聴くと、何の曲?となるのが好きなんですね」
坂上「アレンジで言うと、ブラジルのショーロに“カリニョーゾ”というスタンダードナンバーがあるんですが、そのピアノの特徴的なリズムを取り入れています。でも、南米っぽい曲にはなっていないんです」
――7曲目の“天使たちのはしご”。
伊佐津「〈北アルプスを背に安曇野でも見られる天使のはしご。神々しさも感じられるスケールの大きさに心を奪われます。幾重にも重なる太陽の光のなかを、天使たちが生き生きと飛び回っているようなイメージの曲〉です」
帆足「信州に行くと、天使のはしごに会えます。タイトルの〈たち〉に意味があって、ひとつじゃなく、何か所にも見えることがあるので、天使がいっぱいいて、ぴょんぴょんと飛び回っている。そんなハッピー感がこの曲にはあります」
伊佐津「西の空、北アルプス連峰の方によく見えるんですよ。信州に欠かせない景色なので、この曲が出来てよかったです」
春夏秋冬、その時々に吹く風を音楽に
――8曲目の“うさぎのダンス”は、童謡ですね。
伊佐津「〈子供の頃に歌っていて、長野県中野市出身の中山晋平作曲の懐かしい曲です。転調もいくつかあり、めまぐるしく曲が展開していきます。フルートとバイオリンのメロディ部分など昭和感がたっぷり出ていて、とても気に入っている曲〉です。転調は後半ですね」
帆足「その転調ですが、最後の最後にうさぎが跳ねています(笑)」
坂上「4ビートとかジャズの典型的なリズムの曲はないけれど、この曲だけは思いっきりジャズに寄せようと。〈ビッグバンドだったら、こうなるだろう〉というのをフルートとバイオリンで演っています。この曲の平石さんのベースソロは、めっちゃカッコいいです」
――9曲目“風が運ぶ季節”。
伊佐津「〈信州の春夏秋冬、その時々に吹く風の温度や香り。南風、北風と、1年を通して風にも変化があり、季節が移り変わっていきます〉。暮らしのなかで、風が天候において重要になっているんですね。この曲のフルートも音色・演奏・フレーズと全て素晴らしいです。曲のイメージが膨らみます」
坂上「ありがとうございます。バイオリンとフルートの掛け合いがあったり、前半はある意味信州ジャズっぽくないかもしれません。テンポは速くないけれど、スピード感を出せたらいいなと思った曲です」
――10曲目“Turn The Page”も自然には関係ないんですよね?
伊佐津「〈大切な人との想い出。ページをめくっていくように『こんなこともあったね』、『あんなこともあったね』と、ひとつひとつの想い出をめぐらせていくようなイメージの曲です。聴いてくれた人の想い出のページにもリンクできたら嬉しい曲〉です。背景には自然があるというか、人それぞれの風景がきっとあって、この曲が聴く人の心に入り込んで共感してもらえたら、うれしいです」