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さらに現場を意識した攻めのアルバム

 そして、冒頭で触れたようにポップ・パンクの要素を加えているのも本作の特徴で、豪華なコラボと意外なカヴァーには驚きを隠せない。まずはオフスプリングのフロントマン、デクスター・ホーランドを迎えた“Let The Good Times Roll”である。ECB流のパーティーコアとオフスプリングの西海岸パンクを掛け算したかのような陽性のサウンドにアガらずにはいられない。デクスターは〈この曲のエネルギーや予測不能さに惹かれた〉と語っており、両者の親和性が弾けるコラボ楽曲だ。さらに、2025年に活動を終えたカナダ産ポップ・パンク・バンド、サム41の“Still Waiting”のカヴァーに挑んており、こちらも予想以上のハマり具合。これはECBの前ドラマー、デヴィッド・フリードリヒが病気を契機にバンドを離れた際、元サム41のフランク・ズモが代役を務め、その後のツアーやレコーディングに参加した縁から生まれたアイデアだろう。原曲の魅力を損なわず、彼らの個性を随所にアピールした好カヴァーだ。

 ほかにもシングル級の楽曲が並ぶ。ニコとケヴィン・ラタイジャック、二人のヴォーカリストの掛け合いから始まる“Elevator Operator”は遊び心とユーモア溢れるフックが満載の楽曲だし、野獣の如きスクリームとキャッチーな歌メロが交錯する“Heartclub”ではメタルコアの獰猛さをダイナミックな音像へと昇華。また、“The Way You Are”はアコギを用いた爽快な歌メロから地獄絵図へと急展開するギャップの激しいサウンドが最高にクールかつ抱腹絶倒。バンド側の〈してやったり〉の表情が脳裏に浮かんでくる。また、神聖なコーラスを導入している“Revery”は壮大なスケールを描いた新境地のサウンドで、アリーナやスタジアムなど大きな会場で抜群に映えそうだ。

 〈リード・シングルとして配信された“RATATATA”や“Hypercharged”は、まだはじまりにすぎない。本編は、もっと荒々しく、もっとラウドで、生きている〉と本作に対するバンドからのコメントを読み、心の中で激しく膝を打った。前作を跳躍台にして、より現場(ライヴ)を意識した〈攻めの一枚〉へと舵を切っている――『TANZNEID』はそこが何よりも素晴らしい。

 なお、本作には4曲のリミックスも収録。代表曲“We Got The Moves”のサリヴァン・キングによるリミックスや、パオロ・フェラーラが手掛けた“TANZNEID”のリミックスなど、原曲の一部をデフォルメしたり、よりダンサブルかつ享楽的な音像に仕上げたりすることで、オリジナルとは異なるおもしろさが引き出されている。さらに、日本盤には2025年のライヴ音源2曲をボーナス・トラックとして追加。こちらはベルリン公演での“TANZNEID”、シュトウットガルト公演での"Revery"のパフォーマンスだ。母国ならではの熱烈な歓声も受けてか、ひときわド迫力で豪放な演奏に興奮が収まらない。そして、そんなECBは、今年8月29日(土)、31日(月)に大阪、東京での来日公演を控えている(大阪はDJセットにあたるエレクトリック・ ベースボーイ名義での出演)。ライヴ仕様というべき本作の楽曲が日本の観客とどんな火花を散らすのか、いまから楽しみで仕方がない。 *荒金良介

エレクトリック・コールボーイの作品。
左から、2022年作の日本企画盤『Tekkno(Japan Tour Edition)』(ソニー)、2020年のEP『Mmxx』、2019年作『Rehab』、2017年作『The Scene』(すべてCentury Media)、2015年作『Crystals』(Spinefarm)

『TANZNEID』に参加したアー ティストの関連作。
BABYMETALの2025年作『METAL FORTH』(Capitol)、オフスプリングの2024年作『Supercharged』(Concord)、サリヴァン・キングの2021年作『Loud』(Hopeless)