これがパーティーコアの最高峰だ! BABYMETALとのコラボもヒット中、待望の単独来日公演を控えているドイツ発6人組が、天井知らずにアゲまくる最新アルバムの日本盤をドロップ!!!!!!

 BABYMETALとのコラボレーション・ソング“RATATATA”で大バズリ中のエレクトリック・コールボーイは、いまや世界に名を馳せる屈指のパーティーコア・バンドと言っていい。そんな彼らが12月に東京・豊洲PITで行う単独公演(すでにソールドアウト!)を開催する。これを機に彼らの魅力が多くの人に伝わってほしい。スリップノット以降、海外メタル界においてこれほどエンタメ性に長けたバンドはほかにいなかった。

 改めてバンドのキャリアを振り返ると、2010年にドイツで結成。エスキモー・コールボーイとして2012年にファースト・アルバム『Bury Me In Vegas』でデビューを飾り、メタルコアにエレクトロ要素を取り込んだ、現在にも通じるチャラさ全開のアッパーなサウンドを鳴らしていた。それから作品を重ね、ダブステップやトラップなど旬のトレンドにも目配せしつつ、踊れて騒げるメタルコア路線を突き進んでいく。しかしながら、5作目『Rehab』(2019年)でこれまでの作風から色合いをチェンジ。チャラさは後退し、クリーンなヴォーカルの割合が増え、ブリング・ミー・ザ・ホライズンに通じる哀切なメロディーも急浮上。パーティー感とは対極に位置するシリアスな楽曲が並んだ。そこで音楽的な方向性に違いが生じたのか、同作を最後にフロントマンであったセバスチャン“スシ”ビースラーが脱退し、バンドは存続の窮地に立たされる。だが、地元ドイツのトゥ・ザ・ラッツ・アンド・ウルヴスに籍を置くニコ・サラックが加入し、新体制に。現在の6人で初めて作ったのが2020年のEP『MMXX』に収録された“Hypa Hypa”だった。この曲では従来のパーティー感を取り戻し、結果的に起死回生の大ヒットを記録した。

ELECTRIC CALLBOY 『TEKKNO』 Century Media/ソニー(2022)

 ピンチをチャンスに変えた彼らは現バンド名に改名し、最新作『TEKKNO』を完成。同作は独アルバム・チャートで初の1位を奪取した。初期のパーティー・エレクトロニコアに回帰しながら、合唱必至のコーラスやフィジカルを揺さぶる躍動感は大幅にアップ。エアロビクスのリズム感を落とし込んだ“Pump It”、メタルコアとテクノを融合させた“We Got The Moves”など一度聴いたら耳から離れない中毒性の高い楽曲を筆頭に(どちらもコミカルなMVは必見!)、どこを切り取ってもキャッチーなフレーズが顔を出す魅惑の楽曲が揃っている。また、キーボードのケヴィン・ラタイシャックとニコのツイン・ヴォーカルも相性抜群で、特にニコの爽やかなハイトーン・ヴォイスは大きな武器である。80年代のロックやポップスを彷彿とさせる懐かしさもポイントだ。

 そんな『TEKKNO』の〈ジャパン・ツアー・エディション〉が来日公演を控えたこのタイミングでリリースされる。中身はオリジナル10曲に加えて、今年5月に行われたBABYMETAL主催のフェス〈FOX_FEST〉出演時のパフォーマンスから5曲を収録。目玉はそのライヴ音源だろう。筆者も現場で観たが、海外のメタル・フェスでヘッドライナー級の位置にいる彼らの演奏に圧倒された。メンバー全員がテクノカット&白黒の衣装に身を包んでいた“We Got The Moves”における天井知らずの沸騰ぶりは音源からも十二分に伝わるだろう。メタルコアの破壊力とアゲアゲのパーティー感はライヴでさらに爆裂していた。それこそFear, and Loathing in Las Vegasやマキシマム ザ ホルモンのファンにもブッ刺さるだろうし、ジャンルの垣根を飛び越えたエンタメ性と楽曲の力は本物である。日本でも大ブレイクを願ってやまないし、その日は近いと心から信じている。

エレクトリック・コールボーイの作品。
左から、2019年作『Rehab』、2017年作『The Scene』(共にCentury Media)、2015年作『Crystals』(Spinefarm)