あの頃の感動がさらに磨きがかかって蘇る、驚愕のリマスタリング
子供の頃や多感な時代を共に過ごし、大きな影響を受けた音楽に、大人になって身近な新しいツールを通して触れ直したら、記憶の中の音のイメージと現実の音がすれ違ってしまったことはないだろうか。
だいたいそういう時は、年月が自分の趣味を変えてしまったのだろう、とか、幼い自分はこんな音楽が好きだったのか、ちょっと赤面、という風に、今では着ようにも似合わない古着を仕舞うみたいにその音楽を置き去りにしてしまう。でも、そうではない。便利になることは必ずしも全てにおいてより真実に近づいているわけではない。心ある音楽を愛する人たちがほんとうの意味でのテクノロジーの進化を駆使して、昔夢中になったヒーローたちの音を、最初に聴いた音のイメージ通りか、あるいはそれを超えて輝かしく体験できるように、と日々磨いてくれている。

スーパー・ギター・トリオは、マイルス・デイヴィスの音楽電化の嚆矢として時代を切り拓いたジョン・マクラフリンと、チック・コリアとの共演で目の覚めるような速弾きテクニックがジャズ・フュージョンのイディオムにも適応できることを知らしめたアル・ディ・メオラ、そしておそらく、今後も現れることがないのでは、と思えるくらい神がかった指弾きの高速フレーズと正確無比なグルーヴを刻み出す天才パコ・デ・ルシアがぶつかり合う衝撃のユニット。そのお披露目となったこのライヴ・アルバムを、毎日聴いて興奮していた少年時代の思い出は僕だけでのものはないはず。
レコードが擦り切れるほど聴いたこのアルバムを、CD化された後に僕が買い直したのは海外に住んでいた時らしく、洋盤の音が今ひとつピンと来ていなかったのだけれど、今回の日本独自リマスタリングのサウンドは、世界中の元ギター少年が快哉を叫ぶことは確定。それほどに、鳴った時の最初の空気の音、パコたちのカウントの気配、百花繚乱の音絵巻……昔聴いていた快感がハイスペックになって甦った。CDプレーヤーなのにターンテーブルの音がした気さえした。こんなことあるんですね~。SACD層の妖しいまでの美しさはもとより、通常のCD層の音も格段に鮮やか、むしろ、輪郭が強調されるそちらの方が耳コピなどには向いているのかも。製作スタッフの方々には感謝しかありません。
皆さん、聴いてください。これが現在までのところ人類史上至高のアコースティック・ギター演奏の、ひと握りの頂点のひとつです。