デトロイト・ミュージックの正統派にして異端児、テクノを起点にヒップホップやジャズまで己の足跡に刻み込んできたカール・クレイグ。2013年にはミニストリー・オブ・サウンドから発表した『Masterpiece』で古今の宇宙絵図を一望させてくれた彼だが、一方で、かつてはムーディーマンやリクルースを輩出した主宰レーベルのプラネットEは動きが乏しくなっていた。が、サイケ/BFC名義での自作『Elements 1989-1990』(96年)をリイシューしたあたりから改めて意識がそっちに向いてきたのか、2014年からカタログ音源の整備と並んで新録の音源リリースもふたたび活発になってきた。
TERRENCE PARKER Life On The Back 9 Planet E/Defected(2014)
そんななか、マトムの『Love Mistakes』に続いて登場したのが、デトロイトの大ヴェテランたるテレンス・パーカーの『Life On The Back 9』だ。昔にもプラネットEに楽曲を残しているテレンスだが、アルバムのリリースは実に17年ぶりのこと。今回はデフェクテッド経由でのフィジカル化に伴って2枚組の豪華仕様になっており、艶やかなハウス・ヒット“Finally(Baby Be Mine)”などのリミックスが山盛りなのも嬉しE。
また、それに前後して欧州デトロイティッシュ派の代表格、ファブリス・リグの新作『Galactic Soul Odyssey』もリリースされており、こちらではアン・サンダーソンの歌うディープな“No Judgement”が当然のようにツボ。
CARL CRAIG More Songs About Food And Revolutionary Art Planet E/ディスクユニオン(1997)
一方ではずっと廃盤状態だったカール自身の決定的な大作『More Songs About Food And Revolutionary Art』(97年)も待望のリイシュー……惑星の現在地は過去と未来の間にあるのだ、とか言っとく!
▼関連作品
左から、サイケ/BFCの96年作『Elements 1989-1990』、マトムの2014年作『Love Mistakes』(共にPlanet E)
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