Nao'ymt率いるヴォーカル・グループの全曲集にして名曲集。R&Bブームのなかで登場した『Make U Move』(2000年)と復活後の『Colors』(2010年)収録曲に未発表曲も加え、ディヴァンテ×ティンバランド組の未来を仮想表現したようなビートも自在に出し入れしつつ、正統派のコーラス&ハーモニーを濃密に聴かせる。
10組の歌い手をフィーチャーしたプロデューサー・アルバム。すでに実績のあった宏実やタイラヨオをはじめ、後に単独でデビューするYUKALIやあのSTYなどこの時点では無名の新人たちを等しく配され、クォリティーの高いR&Bトラックを各々披露している。本人の歌も要所で聴けるほか、JINEでの新曲も話題となった。
アーバン×EDMの融和ノリに先駆けた“Inside Your Head”(2008年)、ダブステップを導入した“Black Hole”(2011年)と、大知の作品では世のモード更新を反映することの多いNao。本作では幕開けの“Can You See Our Flag Wavin' In The Sky?”とオリエンタルな結びの“All Coverge On "The One"”にてアンビエント情緒を展開!
以降の“Do Me More”や“Dr.”、近年の“Contrail”も重要ながら、デュエットも披露した『Queen of Hip-Pop』での邂逅から一歩進み、コラボの濃密さを深めたのは本作だろう。冒頭の“Hide & Seek”などプログレッシヴな路線のみならず、2000年代の彼女を代表する名曲となった“Baby Don't Cry”も生み出す万能ぶりといったら!
Lyrico名義の頃から組んでいた彼女の近作においても、Nao'ymtは欠かせないブレーンのひとりとなっている。前作『Now Playing』に収録の“Bye Bye Gloom”は歌をストロングに立てるロッキッシュな出来だったが、ここに収録の“Agape”はホーリーなアンビエントR&Bに。90s的なラヴリー・シングを埋め込んだ“Home”も絶妙だ。
TVドラマの主題歌にも選ばれたヒット・シングルで、Nao'ymtがプロデュースを担当。表題曲は清冽なストリングスから幕開けし、メロディー展開に伴ってポジティヴなビート感を帯びていくミディアム・アップの逸曲。詞世界にもNaoならではのものがある。一転、ロッキッシュなカップリングの“Get Up”も彼の仕事!