Nao’ymtのプロデュースによって組み立てられた三浦大知の挑戦的なプロジェクト〈球体〉。自身が演出、構成、振付を担当した〈完全独演会〉において、まずはその全貌を明らかにしたわけだが、そこにはいわゆるダンス・ナンバーと呼べるトラックはほとんどなく、むしろ静寂が多くを占める音像のなかで彼のダンスと歌が鼓動を生み出していくという世界観。アルバムはそのサントラという趣だが、アコースティックな風合いから壮大なシンフォニーまで繊細に編まれたサウンドと大知のヴォーカルによって成すダイナミズムは、音だけ聴いても胸が躍るもの。アルバムを通してひとつの芸術──いつもとは違う作風に一瞬驚かされたものの、いまやこんな頼もしいアーティストは世界中探してもそういない。