写真提供/COTTON CLUB 撮影/米田泰久

 

アラスカ育ちの大らかさと、輝くばかりの美しさで魅了する人気のジャズ・シンガー

 2010年に『青い影』で日本に紹介されて以来、着実に支持者を増やしている歌手、ヘイリー・ロレン。新作『バタフライ・ブルー』でも、幅広い選曲と豊かな表現力で聴き手を魅了してくれた。輝くばかりの美貌で、とてもフランクなヘイリーに話を聞いた。

HALIE LOREN Butterfly Blue Justin Time/ビクター(2015)

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――『バタフライ・ブルー』はいつもにも増して選曲の幅が広いようだけど、どういう基準で曲を選んでいるんですか?

 「難しい質問ね。自分に語りかけてくる何かがある曲を選んでいるんだけど、いつもとても悩むのね。作者というより曲のよさで選ぶんだけど、コンポーザーでいちばん好きなのはコール・ポーター。彼の曲は、ありふれた単語をまったく違う意味合いで活かすのがすばらしくて、そういうところはシェークスピアに通じるのかな、と思います」

――実は、コール・ポーターが好きだといいな、と思ってました!

 「あはは!(うれしそうに笑う)他にも好きな作曲家はいるけど、彼は特別ね」

――今回はあなたのオリジナルは《バタフライ》だけですが、とても深い感情を曲と歌唱に感じます。

 「これは親しい人が亡くなって書いた曲なんですが、歌詞も曲も、天から降りてきたようにできたの。録音のときも、涙が止まらなくなって号泣してしまいました…」

――そうだったんですね。ところで、80年代生まれのあなたが、ジャズ・スタンダードをたくさん知っているのはちょっと不思議です。

 「母がジャズ好きで、特にナット・キング・コールのレコードをいつもかけていたの。あと、生まれ育ったアラスカの島にはラジオ局が1つだけで、そこでジャズやブルースがたくさんかかったのも大きいわね。アラスカ育ち、というのは私にとって重要なのかもしれません」

――じゃあアラスカの子供たちは、みんなジャズやブルースのファンになるの?

 「あははは!(爆笑して)私だけですよ! MTVはみんな見てましたしね」

――今のバンドのメンバー、特にピアノのマット・トレダーとドラムスのブライアン・ウェストはずいぶん長いパートナーなんですよね。

 「私がティーンエイジャーの頃からずっと一緒なの。ここではとても言えないエピソードもありますよ(笑)。兄弟みたいに一緒に成長してきた仲間です」

――なんかビートルズみたいな話ですね!

 「あはははは! そうね、ビートルズとの大きな違いは、私よりマットやブライアンがずっと年上だってこと(笑)」

――今後の抱負はありますか?

 「今まで、他のミュージシャンとのコラボレーションというのをあまりやってこなかったので、今度はコラボのプロジェクトをやりたいな、と思っています」