コラム

テイク・ザット、今年6月のロンドン公演が1週間限定の〈シネマ・ライヴ〉として日本上陸!

テイク・ザット、今年6月のロンドン公演が1週間限定の〈シネマ・ライヴ〉として日本上陸!

映画館で味わう圧巻のライヴ・パフォーマンス

 映画館を出るとき、『ジーズ・デイズ』や『アイ・ライク・イット』といった最新アルバムからのクールでグルーヴィーなナンバーを口ずさみ、思わず肩で風を切って歩いてしまうか、はたまた《バック・フォー・グッド》や《ネヴァー・フォーゲット》など往年のメロディアスなヒット曲に胸がいっぱいになってしまうか。とにかく、現在進行形のテイク・ザットの魅力が、これでもかと言わんばかりにギッシリ詰まったライヴ・パフォーマンスなのだ。

 彼らが昨年発表したアルバム『スリー』を引っさげて、今年アイルランドやイギリスで敢行したスタジアム・ライヴ・ツアー(10月からはドイツなど大陸でのツアーも予定されている)のなかから、6月19日にロンドンのTHE O2で行った公演の様子を、1週間限定のシネマ・ライヴとして楽しめることになった。テイク・ザットのライヴといえば、2009年のサーカス・ライヴや、ロビー・ウィリアムスも参加した2011年のプログレス・ライヴに代表される、スケール感あふれるセットのなかでダンサーたちと繰り広げるゴージャスなステージングが魅力。それが今回はさらにスケールアップし、そして円熟味も増して帰ってきた感じだ。舞台監督は、ロンドン・オリンピックの閉会式(ここにはもちろんテイク・ザットも参加している)や、先のサーカス・ライヴやプログレス・ライヴも手がけたキム・ギャビンが、引き続き務めている。

 開演前(?)から静かに、だけどじわじわと盛り上げるかのように続き、オーディエンスをファンタジックな世界に引き込むダンサーたちによるパフォーマンスは、演劇の国イギリスの真骨頂といったところ。そして満を持してメンバーたちが登場すると、会場は早くもクライマックスを迎えたかのような熱狂に包まれる。今回はロビー・ウィリアムスも参加していないし、昨年はジェイソン・オレンジの脱退という悲しいニュースもあったが、残ったゲイリー・バーロウマーク・オーウェンハワード・ドナルドの3人は、そんな不安はどこ吹く風といわんばかりに、パワフルなステージングで観客を魅了していく。逆に3人になったことでスッキリした印象さえ感じさせるのは、彼らのステージにかける意気込みと日頃からの鍛練の賜物ではないだろうか。そして要所となるシーンではダンサーたちも登場し、まるで夢の世界を終わらせないかのように、ステージに華を添える。ちょっぴりクラフトワークを思わせるような《アファメーション》での演出や、サイドカーのついた自転車に3人が乗り込み宙を舞いながら歌う《ポートレイト》は大きな見どころだ。

 そして、どんなに演出が優れていても、それが映えるのは、圧倒的な楽曲の良さがあってこそ。セット・リストは2006年の再結成以降のレパートリーを中心に組み立てられているが、《ルール・ザ・ワールド》、《シャイン》、《グレイテスト・デイ》などのヒット・ナンバーをはじめ、この10年近くの間に、ファンと一緒に歌うことのできる、キャッチーでクオリティの高い楽曲を世に出し続けてきたことが、ライヴを盛り上げるのはもちろんのこと、彼らが英国の国民的バンドとして愛され続けている最大の理由ではないだろうか。そうした曲があるからこそ、若さにあふれた1990年代前半の懐かしいナンバーもより効果的に響くのだ。曲の良さを引き立てるバンドの演奏も申しぶんなく、そして彼らをテイク・ザットの3人が愛情たっぷりに紹介するシーンは、思わず心が温かくなってしまう。

 映画館で楽しむライヴといえば、ニューヨークのメトロポリタン・オペラ(MET)のライヴ・ビューイングが成功を収めているのを筆頭に、本場の臨場感あふれるステージを気軽に楽しめる手段として、近年注目を集めている。客席からでは確認しにくい、舞台上のパフォーマーの細かい表情や、バックステージの様子なども間近に観られるのも大きな魅力だ。日本ではなかなか体験できないテイク・ザットの壮大なステージも、このような形で味わえるのは、ファンはもちろん、はじめてテイク・ザットを体験する人にとっても貴重な機会になるはずだ。

 

 

『TAKE THAT LIVE FROM THE O2』
9月12日(土)~1週間限定公開
新宿バルト9ほか
配給:ティ・ジョイ
takethat-livecinema.com/

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