冒頭から3つの声が一緒に聴こえてトリオになったことを宣言する4年ぶり7枚目の新作では、各自のキャラを強調しつつ、鉄壁のメロディーとハーモニー、最上レヴェルのソングライティングを再認識させ、ユニットとしてのアイデンティティーも強化。スチュアート・プライスやグレッグ・カースティンの手を借りたモダンなエレクトロ寄りの音で全編を統一し、ポップの聖杯たるスリルと普遍性を追い求め、細部にこだわりながら空間を十分に含ませることで、スケール感とインティマシーを両立しているのが3人編成TTの刻印だ。中年の現役アイドルが歌うのは、人生の重みを簡素な詞に映したライフ・ソング。パラノイアやメランコリーと陶酔感が隣り合う、英国産ポップのマスタークラスを今回も見せつける。