インディ・ロック、R&B、エレクトロ、ラテン、フォーク、アンビエント…様々な要素が混在したファンタジックな世界観を発信する「カデボスタニー共和国」って??

 

 作曲家/DJ/プロデューサーのカデボスタン大統領によって2008年にスイスのジュネーブで建国されたという「カデボスタニー共和国」。実在する国家ではない。

 「自分が思い描いている芸術を、バンドより大きなプロジェクトとして形にしたい。そんな思いから〈カデボスタニー共和国〉という国を作った。同時に僕はバンドのリーダー、いや、国の大統領を名乗り、この国の音楽、ファッション、文化、思想を世界に紹介しているんだ」

 「こりん星」を標榜していた某アイドルなみの扱いにくさだが、「壮大で感情豊かで、悲劇と喜劇が同居していて予測不能」と話す音楽も実にユニーク。2011年には「カデボスタニー共和国の民謡を集めた」というデビュー・アルバム『Songs From Kadebostany』を出していたが、同じ年、大統領は「共和国のクラブで人気の歌姫だった」というアミナ(・カデリー)と出会い、彼女をリード・シンガーに据え、再スタートを切った。

 「アミナと出会ってすぐにその歌声に惚れて、〈国営スタジオ〉に招いたんだ。ちょうどその頃、僕はこの国を代表して歌ってくれるシンガーを探していたからね」

KADEBOSTANY Pop Collection UNCLEOWEN(2013)

 こうして完成したのが、「国営ラジオでヒットした曲を集めたベスト盤」という2枚目のアルバム『Pop Collection』(2013年)だ。生楽器を多用したシンフォニックで壮大な響きを持ったサウンドとアデルにも通じるアミナのアンニュイでハスキーな歌声がせめぎ合うこれは、インディ・ロック、R&B、エレクトロ、ラテン、フォーク、アンビエントなど様々な要素が混在。そこにビヨンセ《Crazy In Love》とデイヴィッド・ボウイ《Heros》のカヴァーを加えて再編したのが、日本デビュー作『Pop Collection Japan Edition』となる。マーチング・バンド的な音使いのスロウにしたビヨンセ曲カヴァーは、サントラ『Fifty Shades Of Gray』に収録された本家のリミックス(2014年)に影響与えたのではないかと議論されているが、それだけ彼らの音が異彩を放っているということなのだろう。加えて、衣装やメイク、ミュージック・ヴィデオも奇想天外だ。

 「僕たちは世界中の音楽をジャンルや年代に関係なく聴く。民謡からポップスまで。だからヴィデオも制限やルールなく作る。予期しなかったものが出来上がった時が一番楽しいんだ」

 予測不能な彼らは10月に来日も予定。日本とスイスが国交樹立150年を迎えた昨年に続いて、今年はカデボスタニー共和国と新たな関係が結ばれるのかもしれない