客演仕事に見る〈今日という日〉までの歩み

 2003年にKOH-SONSANなるステージ・ネームでマイクを握りはじめた青年が、徐々にレゲエ好きの間で知られるようになったのは、HISATOMIと改名した2009年前後。数々のDJクラッシュで好成績を収める傍ら、強の“Hotter Girl”にTAK-Zと参加したほか、APOLLOARM STRONGらとのコンビ・チューンが、BURN DOWNARUZ STUDIOのコンピに収められるようになった頃のことです。そう、HISATOMIは地元・大阪のハードコアなダンスホール・シーンで同年代の歌い手と鎬を削ってきた、バリバリの叩き上げ系アーティスト。

 もっとも、伸びやかで歌心溢れる彼のDJイングは、より大きなフィールドでも十二分に勝負できるポテンシャルを備えていたわけで、それを証明するように、SATOMirhythm zone移籍作『chainin'』でミディアム・バラード“Joy of Love~happy ever after~”のデュエット相手に抜擢。R&Bシンガーとの絡みで言うと、ラヴァーズ・ソウルとでも呼ぶべき宏実“HONESY”で見せたHISATOMIの実直なリリックが、多くの女性ファンを惹きつけるきっかけになったことも忘れ難いです。

【参考動画】SATOMiの2011年作『chainin'』収録曲“Joy of Love~happy ever after~”

 

 その後は自身のアルバム・リリースを重ねながら、『MADE IN ISLAND』にも“GOLDEN TAG”で曲名通り息ピッタリの掛け合いを披露している寿君の『オレノキュウキョク』に顔を出したり、関西エリアでここ数年もっとも勢力を拡大しているサウンド・クルー、RISKY DICEのミックス・シリーズ〈びっくりボックス〉に2作連続で参加したり……。とりわけ印象的な最近の外仕事は、KIRAの“F.A.N.T.A.S.Y”。EDM通過後のキラキラしたポップ感は、HISATOMIの新作にもしっかり活かされています。

【参考動画】KIRAの2015年作『LISTENER KILLER』収録曲“F.A.N.T.A.S.Y”