12月19日を皮切りに、渋谷シネクイント、新宿バルト9ほか全国順次ロードショーとなる映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」。同作の公開記念イヴェントが、12月16日にタワーレコード渋谷店で開催され、タワーレコードのストリーミング・メディア〈タワレボ〉で同時配信されました。bmr編集長にして「ストレイト・アウタ・コンプトン」の日本公開版字幕監修も務める丸屋九兵衛と、ウエスト・コースト・ヒップホップ・カルチャーに特化した知識とセンスで日本全国及びLAを中心に才能を発揮しているDJ/プロデューサー、DJ Couzによるトーク・イヴェントの模様をレポートします!
「ストレイト・アウタ・コンプトン」は、86年からUS、カリフォルニア州コンプトンを拠点に活動したヒップホップ・グループ、NWAの結成から解散、さらにその後を描いた伝記映画です。理不尽な社会や国家権力へのメッセージを暴力的なリリックで表現した結果、警察やFBIからもマークされ、〈世界で最も危険なグループ〉と評された彼らの伝説を映像化した同作は、本国アメリカで公開されるやいなや大ヒットを記録。全米興行収入では3週連続の1位となりました。
商業的成功のみならず批評家からも高く評価された「ストレイト・アウタ・コンプトン」ですが、全米公開時にはまだ日本での上映が決定しておらず、熱心なファンらが日本公開を求める署名活動を展開。まさに超待望の上陸となる同作への期待値の高さからか、今回のイヴェントにも多くのオーディエンスが駆けつけていました。会場にずらりと集まったB-BOYに、丸屋も〈コンプトン濃度高いなー〉と感嘆の声。
まずは、ハリウッドで今作を観たDJ Couzが、上映時の劇場内の様子を教えてくれました。鑑賞者のほとんどがブラックとのことで、いまだ衰えぬNWAのカリスマ性を強く印象付けられたそう。続いて、当時のメンバーと演じた俳優の写真を比較しながらのNWA解説タイム。それぞれのパーソナリティーや秘蔵話が披露されるなか、特に会場を沸かせていたのが、丸屋による〈細かすぎる〉似てる/似てないジャッジでした。〈当時の黒人といまの黒人は体脂肪率が違うんです〉発言にフロアは爆笑!
さらに、DJ Couzが映画ではかなり脚色されていた、NWA結成にも繋がるドクター・ドレーの知られざるエピソードを話し、それを受けて丸屋が〈ドレー=ヘタレ説〉を展開。笑い話としつつも〈でもドレーによってヒップホップの歴史は作られていったんです〉と、DJ Couzからドレーへの愛情が伝わる語り口に、オーディエンスはぐっと引き付けられていました。そして、ウェッサイに精通した2人ならではの危ない話も連発。ドレーとは因縁の仲であるシュグ・ナイト(a.k.a.シュグ様)の、ここでは書けないほどのサグな話が会場をますますロックします。
トークの間には、NWAコスプレ・コンテストも開催されました。入賞者から許可をいただきましたので、以下に写真を掲載します。気合いの入った〈コンプトンっぷり〉をどうぞ!
イヴェントの終盤では、アイス・キューブ本人、映画でアイス・キューブ役を演じた息子、オシェイ・ジャクソンJr、ドクター・ドレー3人がそれぞれ語るスペシャル・インタヴュー映像を公開。ドレーの発言を汲んでの、〈ドレーは『2001』からイージー・Eの供養がライフテーマとなっているように思う〉という丸屋の解説に、一見強面の多い来場者も深く聞き入っていました。映画は、12月26日(土)からさらに上映館を拡大し、全国各地で鑑賞することができます。当時を知るオールドB-BOYから〈NWAなんぞや?〉という方まで、ぜひぜひ足を運んで、彼らの伝説を目撃すべし!