【特集】ストレイト・アウタ・コンプトン
その街に渦巻いていたのは、暴力と犯罪、理不尽と非常識、そして音楽と青春だった――コンプトンから時代を作ったNWAの歩みを話題作の公開と共に追体験しよう!
★Pt.1 最高の映画と共にNWAの歩みを振り返る副音声的雑談企画! はこちら
★Pt.2 ディスクガイド:NWA史を彩る重要作、一気にイクぜ!(1)はこちら
★コラム〈映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」が遂に日本上陸、NWAの知られざる物語と圧巻のライヴ・シーンを体験せよ!〉はこちら
★イヴェント・レポート〈丸屋九兵衛×DJ Couzが秘話明かしまくった映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」公開記念イヴェント@渋谷タワレコ〉はこちら
RELATED DISCS
NWA史を彩る重要作、一気にイクぜ!(2)
VARIOUS ARTISTS Straight Outta Compton 10th Anniversary Tribute Priority/ユニバーサル(1998)
『Straight Outta Compton』のリリース10周年を記念し、西の人気アクトを中心に制作されたトリビュート盤。MCエイトとキング・ティー、ドレスタのコンプトン三人衆によるタイトル曲、スヌープ&C・マーダーのノー・リミット・コンビ(当時)が“Deep Cover”のフレーズも引用しながら披露した“Gangsta, Gangsta”などおもしろいカヴァー多し。30周年の際は再企画を希望。 *Masso
ケンドリック・ラマー“M.A.A.D City”で圧巻の語りを聴かせたMCエイトの、グループ時代のデビュー作。もともと〈NWAよりも過激〉を売り文句にストリート寄りの作風を聴かせた西海岸の重要ユニットで、屈指のストーリーテラーたるエイトの存在感はこの時点でもズバ抜けている。 *出嶌
最近では〈スクープ・デヴィルの父親〉と説明したほうが早い? エレクトロ全盛期の84年に“Rough Cut”でデビューし、いまも現役……と、〈ラティーノ〉や〈西海岸〉という条件をナシにしても現役最古参クラスのOG。これはメジャー発の初作だが、イージーの逝去前にルースレス入りしていた時期も。 *出嶌
この時点ではデジタル・アンダーグラウンドの準メンバーでもあった2パックのセカンド・アルバムで、女性を鼓舞する名曲“Keep Ya Head Up”はここに収録。“Last Wordz”ではキューブにアイス・Tを迎えて3大役者ラッパーのコラボを実現させていたり、レイロウのプロデュース曲がある点にも注目だ。 *出嶌
イージーに憧れてオハイオから移住し、メロディアスなラップと呪術的なハーモニーでルースレス随一の成功を収めたユニットのデビューEP。イェラ制作でイージーも客演したメロウなヒット・チューン“Foe Tha Love Of $”は、ドレーも先日の『Compton』にてネタ使いしたばかりだ。 *出嶌
直接の縁はないものの、NWAに通じるクルー感を備えていたサウス・セントラル出身ユニットがこのSCC。大手レーベルが西買いに走った時代にデフ・ジャム入りしてのこのセカンド・アルバムは、アイス・キューブやCMWらをサンプルしながら我流のGな甘さと苦さを表現した快作だった。 *出嶌
DJプーと書いた脚本でキューブが主演したヒット映画のサントラ。ゴツゴツした表題曲は主役自身の曲だが、ここでの人気を受けて音楽面への集中はしばらく途絶えることになる。なお、その本編は「ストレイト・アウタ・コンプトン」を手掛けるF・ゲイリー・グレイにとって初の長編監督作でもあった。 *出嶌
晩年のイージー・Eの活動をサポートした兄弟MCコンビがイージー亡き後に発表したファースト・アルバムで、王道ファンクなネタを多用したGファンクの傑作。イージーに捧げた“50/50 Luv”やドレー~スヌープ~ドッグ・パウンドらを口撃した“D.P.G./K”を収録。 *Masso
キューブが率いるレンチ・モブの数多い構成員のなかで最大の成功を収めたブラッズ出身ラッパー。スタジオ・ギャングスタと揶揄されたこともあるが、それは師匠に通じる詩才があったということでもあろう。自身のフー・バンギンを設立してヒットを連発するが、現在はキューブやWCと没交渉中。 *出嶌
コモンとの舌戦をキッカケにキューブのウェッサイ魂にふたたび火が点き、WCとマック10を伴って結成されたユニットのファースト・アルバム。表題曲やそのコモンをディスした“Hoo-Bangin'(WSCG Style)”など恐ろしい破壊力を持つ楽曲の連打に溜飲を下げた人も多かっただろう。 *Masso
EAZY-E Str8 Off Tha Streetz Of Muthaphukkin Compton Ruthless/Epic(1996)
生前に予定されていた連作のパーツを寄せ集め、最後の奉公としてイェラが大半のプロデュースを手掛けた遺作。イージーらしいラフな作りを、BGとドレスタやロジャー・トラウトマンの援護も交えて一気に聴かせる。レンと久々にマイクを交わした“Tha Muthaphukkin Real”はNWA用の曲だったとされるものだ。 *出嶌
ルースレスでの最終作ながらも忠誠を表明した3枚目のフル・アルバム。キューブとは最後までこじれていたらしいが、本作収録の“Comin' After You”ではついにリユニオンが実現。共通の縁があるボブキャットのプロデュースしたソリッドなビートに乗せて、NWAの名も挙げながら冷酷に旧交を温めている。 *出嶌
コメディーもイケる役者としてのキューブ像を更新したシリーズの第2弾サントラ。ウータンからキャッシュ・マネーまで各方面から満遍なく楽曲が提供されるなか、唐突に8年ぶりのNWA名義曲として収録されたのが“Chin Check”だ。スヌープの援護も受け、ヘヴィーなドレー・ビーツに絡んでキューブとレンも意気軒昂! *出嶌
スヌープを筆頭にエミネムやイグジビットら当時の若手たちも迎えて作り上げた鉄壁のセカンド・アルバムで、キング・ティーやコケインも参加のポッセ・カット“Some L.A. Niggaz”には地味ながらMCレンも登場。主役自身のラップでは“Still D.R.E.”の〈Still not loving police〉が印象的なところ。 *出嶌
〈Up In Smoke Tour〉などウェッサイ勢の共闘体制が続いていた時期のノリを受けて投下したアルバムで、ドレーのド渋いビートによるオープニングの“Hello”では、そのドレーにレンも迎えてNWA体制を実現。キャッチーなヒット“You Can Do It”をはじめ、多彩にエンターテインするキューブの豪傑な魅力に触れられる。 *出嶌
WCとスヌープとゲームを従えた“Too West Coast”を収め、サー・ジンクスのプロダクションも含む2010年代最初のアルバムだが、ここでは愛息のOMGとドーボーイにマイクを回しているのがポイント。そう、前者は今回の映画でキューブ役を務めたジュニアのことで、彼はこの後ミクステも発表している。 *出嶌