モンドな奇才ぶりで中南米のクラブ界隈を牽引するトラックメイカー/DJの約5年ぶりとなるオリジナル・アルバムは、スーパーピッチャーとのパチャンガ・ボーイズと同じくコンパクト内のヒッピー・ダンスから。謎に80s的なジャケはヴィンテージな音が立ち現れては消えるサウンド・プロダクションとのリンクなのか、徹底的にミニマル&ロウなテクスチャーの本作は、ショート版で収められた14分超のオープニング“Here Comes The Warrior”からラストの“Dance Warrior Dance”まで、9つの長尺曲をノンストップで繋いだコンセプチュアルな一枚となっている。トライバルな打楽器やスピリチュアルな女声/男声、トリッピーなリヴァーブ使いでなだらかなピークを演出しながら、どこか呪術的で瞑想的な内的世界へ誘う。終盤に向けてビートもウワモノも躍動感と色彩感を強めていくものの、全編を貫く執拗な反復と重厚な音響が得体の知れない不穏さをブーストし、聴き手をじわじわと絡め取るテクノ・サイケ盤だ。