C16 PERFECT BLUE
【特集】それぞれの感性で鳴らす〈青〉
あれから30年。日本では、ネオアコもギター・ポップもパンクもハードコアもひとつのインデックス上に並ぶ、瑞々しい感性があちこちから登場しているよ!!

★Pt.1 はこちら


Boyish
ストリングスやサックスの導入によって洒脱さを増した、淡いブルーの『C86』サウンド!
 

 

 サウンド面においては、本特集のなかでも『C86』のテイストをダイレクトに継承している東京発の5人組バンド。配信やカセットテープ/ZINEといったDIYなリリースに加え、ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートを送り出したUSクラウドベリーからの7インチやDead Funnyからの3枚のアルバムを通して80~90sのネオアコ~ギター・ポップをアップデートしてきた彼らより、新興レーベルであるbouquetへ移籍しての新作『Strings』が到着した。

Boyish Strings bouquet(2016)

 メンバー交代後の7インチを経てのオリジナル・アルバムとなる本作では、タイトル通りのストリングスをはじめ、フルートやサックス、シンセを大幅に導入。華やかさと煌めきを目一杯に纏って弦と共に疾走する“カラーフィルム”、ソウル・ポップ調の“セカンドサマーオブラブ”、スタイル・カウンシルを彷彿とさせる“長くくねった道”など、エヴァーグリーンな多幸感を放つポップソングが目白押しだ。加えて、随所に登場する歌うようなサックスが全体にメトロポリタンなAOR感を添えていて、ほんのりとした揺らぎのあるグルーヴや、モラトリアムなブルー・ボーイを主人公とする詞世界を洒脱に演出。ミックスを岩田純也が、マスタリングを中村宗一郎が担当したドリーミーな音響とのトータリゼーションで、胸膨らむような昂揚感と甘くほろ苦い時間を与えてくれる。 *土田真弓

 

 

そんなわけで……『C16』のインデックスに並ぶのは、こんなラインナップ!

Kazuna hirose with ECHO Grand M felicity(2015)

スティーヴン・パステルと親交のある彼らはある意味『C86』の正統な後継者だと言えるかもしれない。とはいえ、広瀬和奏の瑞々しくソウルフルなヴォーカルを軸に、ピアノや管弦楽器のアレンジも織り交ぜた本作は、インディー然としたギター・ポップ~ネオアコの範疇を超えるものであり、シンプルに上質なポップス集であると言いたい。 *金子

 

POST MODERN TEAM POST MODERN TEAM Ano(t)raks(2013)

大阪を拠点とするNINGENCLUBのフロントマン、岸田剛のソロ・プロジェクト。インディー・ロック愛を爆発させながらもどこか斜に構えた雰囲気もある本隊に対して、こちらはアノラックなネオアコ~ギター・ポップに焦点を当てた一枚に。瑞々しいサウンドながら、気怠さを纏ったヴォーカルがナイーヴな質感を際立たせている。 *土田

 

Pictured Resort Now And On RALLYE(2015)

ペインズが来日した際の前座を務めたWallflowerのサポート・メンバーも含む大阪の4人組。……とくれば想像できるネオアコ的なギター・カッティングにチルウェイヴ経由のシンセとジェントルな歌声を重ねた音世界は、〈ネオアコ系シティー・ポップ〉との形容にも頷ける洗練ぶり。ベッドルーム・ポップ化したプリファブ・スプラウト的な趣も。 *土田

 

VARIOUS ARTISTS Rhyming Slang Tour Van Pヴァイン(2016)

〈バンドマンがツアーの移動で聴く仲間内のミックステープ〉をコンセプトに、DYGLやコンピューター・マジックなど、国内外のアーティストを収録したコンピ。本特集の趣旨に照らし合わせれば、ガールズ・バンド、SaToAのローファイ風味なポップスや、Yuksen Buyers Houseの浮遊感のあるネオアコ・ナンバーあたりが聴きどころか。 *金子

 

HALF SPORTS MILD ELEVATION Drriill(2014)

パワー・ポップ~オルタナを起点に、作品を重ねるごとにサイケ色を強めつつある名古屋発の4人組。背景に細かく見え隠れするサウンドも幅広く、その一筋縄ではいかない折衷の仕方は相当にストレンジながら、なぜかポップ。本特集的には“New and unknown kiss”“Needle”などにポスト・パンク的なネオアコ使いが感じられる。 *土田

 

Old Lacy Bed SHE DAYDREAMS 2670records(2015)

サマー・ツインズやラ・セラといった海外アクトとの共演も多い名古屋の4人組ガールズ・バンドによるセカンド・ミニ・アルバム。ジャングリーなギターに奥ゆかしいメロディー、ドリーミーな透明感と、まさに『C86』の流れで浸れます。アンニュイに始まって雲間から陽が差して終わるような展開も惚れ惚れしちゃう一枚。 *田山

 

Hearsays IN OUR TIME Dead Funny(2014)

福岡の4人組インディー・ロック・バンドによる初の全国盤となったミニ・アルバム。淡くとろけそうな歌とキリッと叩くドラムという、女性メンバー2人のセンスがとりわけ素敵で、ゆったりしたリフからつぶらなツイン・ギターの絡み合う展開など、90年代USオルタナのマナーを踏まえてもいる。男性ヴォーカルの曲もあって多彩。 *田山

 

LADY FLASH 恋するビルマーレイ Dead Funny(2016)

〈以前はパンク好きでしたが、楽曲の質で勝負してみたくなり、いつしかポップになっちゃいました。ごめんあそばせ〉的なふてぶてしさを散りばめた直感ワードや爽やかな男女ヴォーカルが光る、大阪発の4人組による初アルバム。サンバのリズム×野性味あるコーラス×サーフ・テイストの曲が“youth感”とか最高でしょ。元気! *田山

 

まだまだあるよ……『C16』のインデックスに並ぶのは、こんなラインナップ!

花泥棒 daydream ep New York Balance(2014)

バンド名の元ネタであるスピッツと、同郷・京都の大先輩にあたるくるり。〈みんな大好きバンド〉の二大巨頭から、彼らは折衷的な音楽性と普遍的なメロディーセンス、表層のキュートなギター・ポップ~ネオアコの背景に透けて見えるオルタナティヴな姿勢を受け継いでいる。現在は東京に拠点を移し、サポート・メンバーと共に活動中。 *金子

 

And Summer Club Surfer Girl SECOND ROYAL(2016)

〈HEAVY HAWAII PUNK〉を標榜する大阪の4人組が今年の〈RECORD STORE DAY〉に発表した7インチ。ゆるめのインディー・ポップに見せかけてパンクやガレージの棘があったり、ドカシャカしたビートで熱いヴォーカルとグッド・メロディーなギターが併走していたり、めっちゃクールです。90sオルタナ好きのツボ突きまくり! *田山

 

VARIOUS ARTISTS WHILE WE'RE DEAD. : THE FIRST YEAR KiliKiliVilla(2015)

KiliKiliVillaの立ち上げにも関与したSEVENTEEN AGAiN、そしてNOT WONKやTHE SLEEPING AIDES & RAZORBLADESが影響を公言するover head kick girlといった〈新感覚パンク〉の先駆けバンドも収録されたレーベル・コンピ。同梱のZINEも情報量が凄まじいので、シーンを知るための入門編として最初におススメしたい一枚だ。 *土田

 

SUMMERMAN Temperature is … KiliKiliVilla(2015)

トリプル・ギター&ヴォーカルによる熱量満点のパワー・コードとシャウトで、吉祥寺を拠点にその名を轟かせているSUMMERMAN。この初フル作に詰まった粗い爆音、キラキラ輝くメロディーに耳を傾けると、バカをやった青春の1ページがフラッシュバックする。〈胸を焦がす〉と形容したい音楽。大声で歌えば、きっと涙が出る。 *田山

 

THE SLEEPING AIDES & RAZORBLADES FAVORITE SYNTHETIC DEBAUCH MOOD(2015)

札幌を拠点とする4人組は、キュアー譲りのソング・ライティングにサイケ色の強い現代的な音像を組み合わせたノスタルジックかつポップな作風で、ロックンロールへの愛情を目一杯に表明する。プライマル・スクリーム“Glory Of Love”のカヴァーがハマっているのも、きっと彼らがボビー・ギレスピーばりの音楽マニアだからだろう。 *金子

 

VARIOUS ARTISTS 生き埋めVA 生き埋めレコーズ(2014)

京都のレーベル、生き埋めレコーズによる初のコンピ。主宰メンバーが在籍するTHE FULL TEENZ、littlekids、sprintklubをはじめ、バンド中心に日本各地の若手13組(東京はなし)を集めている。ローカル熱があって、かつフレッシュ! アシッドなodd eyes、甘いメロディーが印象的なfULLHOUSEとクセモノ揃いなのに聴きやすい。 *田山

 

falls Wednesday Waterslide(2015)

PASTA FASTAのsho yamamotoがフロントマンを務める3ピースが鳴らすのは、90年代後半を思い起こさせる初期エモ・サウンド。泣きすぎず、歪みすぎず、ギター・ポップにも通じる程良い青さを残した楽曲の数々が胸に沁みる。メロディック・パンク譲りの合唱コーラスと切ないメロディーとの対比が生み出すドラマ性の高さもポイント。 *金子

 

The Cavitys Don't Need Complex I HATE SMOKE(2016)

これまで矢継ぎ早に5枚のデモ音源を発表し、ついにフル作が完成。バズコックスに近い初期パンク~パワー・ポップをもっとヨレヨレにしたような楽曲は、その多くが1分台にまとめられたコンパクトかつキャッチーなものばかり。コンプレックスに悩む少年少女はもちろん、ロックンロール・リヴァイヴァル世代のお兄さんお姉さんもぜひ。 *金子

 

manchester school≡ Lovers, Rubbers. thrash on life(2016)

THE FULL TEENZやLADY FLASHらと関西パンク界隈を賑わす4人組。結成から10年以上を経て到着した初アルバムは、バズコックスやディセンデンツをルーツとする楽曲に、妙に愛らしいギタポ・マナーのコーラスを注入。ローファイ気味のアンサンブルやユーモラスに泣かせる詞と相まって、やたらフレンドリーなハードコア・ポップ集に。 *土田