〈光〉が持つ普遍のパワーを信じて……
英国ウェストミンスター寺院聖歌隊出身のソプラノ × 2・カウンターテノール × 2・テノール × 2・バリトン・バスの8人からなる人気声楽ユニットが再来日。LFJ音楽祭2016のステージに登場し聴衆を沸かせた。「僕らはそれぞれ個性的な声を持っているけど、みんなでひとつになった瞬間にこそより強く輝ける」と、ビジネス・リーダー役のポール・スミス(バリトン)。
日本での2ndアルバムの原題『Lux』はラテン語で〈光〉の意味。集められたのは、闇を追い払い希望をもたらす、そんな慰めを暗示させるような楽曲ばかり。「歴史的にも合唱は教会で生まれ発展してきたものだけれど、今や宗教の枠を超えてポジティヴなメッセージを伝えることができる」とポールの弟でグループの芸術監督であるバーナビー(カウンターテノール)。
サクソフォンの演奏がルネサンスのポリフォニーに脱俗的な美しさを加えるタリス作品も必聴だが、アレグリの有名な〈ミゼレーレ〉の神々しい高音は圧巻。「子どもの頃から大好きな曲。アンドレア(ソプラノ)とはもう何年も一緒にやっているけど、何度聴いてもあの輝かしい歌声には圧倒されるよ」(バーナビー)
一方、ノルウェー生まれでNY在住のオラ・イェイロやウィリアム王子とケイト妃の結婚式を手掛けたことで知られるポール・ミーラーなど、ヴォーチェス8ゆかりの作曲家たちが古いラテン語の神秘的な詩句にインスピレーションを得て書いた楽曲や、グラス・ハープの音色が天体のハミングを奏でるラトヴィア出身のエリクス・エセンヴァルズの“星”(英語詞)なども魅力的。「同時代の優れた作曲家の作品をとりあげるのは僕らに課せられた役割のひとつ。彼らの作品がタリスやアレグリと同様に300年400年後の未来まで受け継がれて演奏されることを願うよ」(バーナビー)「“星”には家族や友人たちがグラス・ハープで参加してくれて楽しかった。ビデオもユニークだよ」(ポール)
また、マッシヴ・アタックの世界的ベストセラー・アルバム『メザニーン』収録の“ティアドロップ”や、日本でも人気を呼んだ英国映画“アバウト・タイム~愛おしい時間について~”のサントラに起用されたベン・フォールズの名バラード“ザ・ラッキエスト”など、ロックナンバーを美しい合唱曲に編曲してカヴァーするのも前作と同様にヴォーチェス8の真骨頂のひとつ。「伝統を大切にしつつ、いろんなジャンルに挑戦したい。16~17世紀の聖歌が好きな層にロックの旋律やハーモニーの美しさを伝えたいし、その逆も」(ポール)
既に次回の来日公演も決定している。
「現在レコーディング中の〈冬〉をテーマにした新譜と一緒に来られといいですね、お楽しみに!」(ポール)
LIVE INFORMATION
ヴォーチェス8 2016来日公演スケジュール
2016年12月21日(水)東京・王子ホール
開演:19:00
2016年12月23日(金・祝)東京・初台 東京オペラシティ コンサートホール
開演:14:00
2016年12月24日(土)長野市芸術館
開演:15:00
2016年12月25日(日)大阪・ザ・シンフォニーホール
開演:14:00