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WANIMA

 名門PIZZA OF DEATHがレーベルとしてだけでなく、初めてマネージメント契約したバンド――この事実だけでも彼らの凄さを理解していただけるだろうか。2010年に熊本で結成し、昨年11月にファースト・アルバム『Are You Coming?』を発表したばかりのWANIMAは、数々のフェスに引っ張りだこ&2000人規模の会場をいっぱいにできる3人組。人気の理由は、〈どんなに辛いことがあってもがんばろう〉と訴える日本語の歌と、それを会場中が一体となってシンガロングする、笑顔と涙に満ちたライヴにあると思う。PIZZAが日本語詞のグループを迎え入れたのには驚かされたが、その歌がパンクに縁のなかったリスナーをも取り込み、そこから同ジャンルにズッポリはまってしまった人まで続出しているというのだから、タダゴトではない。実際、今年6月に行われたレーベル主催のイヴェント〈SATANIC CARNIVAL〉で、客層の若返りを目の当たりにしたところだ。

WANIMA JUICE UP!! PIZZA OF DEATH(2016)

 そんな頼もしい存在の3人より、ニュー・シングル『JUICE UP!!』が届いた。オープニングを飾る直球のメロコア曲“ともに”、スカコアに地元のお祭りのリズムを採り入れた“オドルヨル”、Hi-STANDARD先輩のマナーでカヴァーした財津和夫の“切手のないおくりもの”、ノンビートな歌い出しにノスタルジックでセンティメンタルな味わいを滲ませる“For you”――〈できるだけ多くの人に自分たちの歌を届けたい〉との目標に向かい、バンドが第2章に入ったことを印象付ける全4曲。ちなみにそのうちの2曲はTVCMに起用され、リリース直前には「ミュージックステーション」への出演も果たしている。お茶の間でも、現場でも、場所を選ばずに聴く者の胸を熱くするWANIMA。国産パンクの未来を明るく照らすのはコイツらだ! *山口智男