謎のヴィジュアル・イメージに、70年代ディスコ/ファンクを下地に歌謡テイストのメロディーを乗せた至極キャッチーで高品質なサウンド――Mikikiでは昨年12月の来日時に、ライヴで共演したSCOOBIE DOと対談取材を行っている韓国のファンク・バンド、スルタン・オブ・ザ・ディスコ。今年2度目の出演を果たした〈サマソニ〉の際に日本デビューすることがアナウンスされた彼らが、12月7日の本邦初ミニ・アルバム『オリエンタルディスコ特急』のリリースに先駆けて、先日新たな姿をお披露目した。

SULTAN OF THE DISCO 『オリエンタルディスコ特急』 バップ(2016)

スルタン・オブ・ザ・ディスコは、10月25日に東京・渋谷TSUTAYA O-EASTで開催された〈TOKYO INTERNATIONAL MARKET LIVE〉に出演。日本デビューにあたってヴィジュアルも一新し、それまでの光沢感のあるガウンにヘアバンド(テニスで使うようなやつ)&サングラスというストレンジな衣装から、アフリカのサプールを意識したという鮮やかなスーツを身に纏って登場した。

冒頭は、彼らの韓国での最新作『The Golden Age』(2013年)に収録された代表曲のひとつで、スルタンのスタイルをがっつり打ち出した“Oriental Disco Express”。初めてスルタンのステージを観るであろう人たちがほとんどで、いずれもまずは様子見というテンションが窺えたが、そんな客席の温度とは関係なく、ダンサーのJ・J・ハッサンは初っ端から全力で踊ってみせる。そしてこのバンドのイニシアチヴを取るフロントマンのナジャム・スが歌いはじめると、あれれ……なんか歌詞が違う。というか日本語で歌っている……! なんと来るミニ作の目玉である初の日本語ヴァージョンが初披露されたのだ。しかもこの日本語詞を担当したのは、韓国でもよく知られている氣志團の綾小路翔。不思議な言葉が並ぶ歌詞ではあるものの、原曲の語感が活かされているからか、ありがちな違和感がないのがおもしろい。

そして、このバンドのキモであるジ(ベース)&キム・ガンジ(ドラムス)のリズム隊もいっそうグルーヴ感を増し、起伏ある曲展開とスタイリッシュなメロディーが印象的な“Power Of Oil”へ。曲の途中では、シンセを弾くナジャムの元へハッサンとギターのホンギが歩み寄り、まさかのこんな↓ことに!

前かがみになったホンギの背中にナジャムが乗っかり、その足をハッサンが持ち上げているという図

こちら、実はスルタンのライヴではお馴染みの余興(!?)。ギターを頭の後ろで弾く人がいるなら、こんなシンセの弾き方も良かろうと考えたのか……こういったローファイなサーヴィス精神も彼らの魅力である。

オーディエンスもようやくこのバンドのノリが掴めてきたところで、早くも折り返し。ナジャム&ハッサンのユニークなユニゾン・ダンスも観どころの、耳に残るフックを持つミディアム“Tang Tang Ball”を経て、最後はロード・ムーヴィーのサントラを思わせる(それはこの曲のミュージック・ビデオの影響かも……)“Caravan”へ。それまでとはちょっぴり異なるムードのしっとりとした演奏も心地良い、ギターのホンギがメイン・ヴォーカルを取るナンバーだ。彼らのライヴでも人気の高い曲だけあって、スルタン初体験の観客もしっかりその世界に引き込み、約20分間のステージを終えた。

今回はショウケース的なイヴェントだったため、4曲という短いセットではあったが、12月のミニ・アルバム『オリエンタルディスコ特急』(韓国盤既発曲も新たにミックス&マスタリング)のリリースを皮切りに、日本でもスルタン・オブ・ザ・ディスコの魅力に触れる機会がグッと増えるはず! Mikikiではその日本デビューのタイミングに初のメンバー全員インタヴューを掲載する予定なので、そちらもお楽しみに!

 

今回のライヴで演奏された楽曲のライヴ動画/ミュージックビデオはこちら

“Oriental Disco Express”。こちらは韓国語のオリジナル・ヴァージョン

“Power Of Oil”

 “Tang Tang Ball”

“Caravan”