ウェザー・リポートの魅力を再発見させるジャズ・ピアノ・トリオ
クリヤ・マコト(p)納浩一(b)則竹裕之(ds)、ウェザー・リポート世代の名手が集まり、ウェザー・ナンバーをアコースティック・ジャズで演奏。楽曲の魅力を再発見させるこのプロジェクトについて、発案者であるクリヤ・マコトに語っていただいた。
「ウェザー・リポートの曲は一般的には、あまりセッションでも取り上げられません。構造的に難しくてセッションには不向きだからです。でも、僕は昔から仕事の合間にアイデアを練りながら、ピアノでウェザーの曲をちょこちょこと弾いたりしていたんですよ。その時、シンプルにピアノだけで弾いてみると、音楽性の高さや曲の美しさが改めて心を打ったんです。『これは面白いことができそうだ!』と、ほんの小さな着想を得たのは10年以上前でしたけどね(笑)」
しかし、彼の思いつきと言っても良いほど趣味的な構想が、納浩一と則竹裕之のリズムセクションが参加したことにより一気に現実化する。この人選の理由は?
「まずウェザーをリアルタイムで体験した人、しかもあらゆる音楽の素養を持ち合わせた人、そうなるとこの二人しかいない! 幸いにも快諾していただき、2015年の結成後ツアーも3回行なってるんですよ」
本家ウェザーの音楽を彩るカラフルな装飾を取り去って、ピアノ・トリオのジャズというミニマムなスタイルで再構築。この思いがけない解釈はとても新鮮だ。
「一度全てをそぎ落として、ジャズとして仕上げる。もとから完全コピーなど考えていませんし、はたまた過剰なアレンジをしようとも思っていません。自分の音楽的なボキャブラリーやランゲージで無理なくウェザーの骨組みを表現するだけです。だから、コピーでもトリビュートでもない。あえて言うなら “趣味” です(笑)。ただ、趣味がここまで大層なプロジェクトになるとは思ってもみなかったことですが…(笑)」
本作は3人のウルトラ・ハイテクニックを活かすため、無編集で修正皆無の超絶音響DSDレコーディング。ハイレゾ配信に対応した音の良さも絶品だ。
「複雑なことはいくらでも出来るので、このプロジェクトではシンプル・イズ・ベストを常に考えてきました。ハイファイな録音で、しかもトリオで演るからには必要以上に音を複雑化しない方が、音の間を聴かせることが出来る。僕以外の二人も、音を大切にする人たちですからね。音の余韻や間を聴かせるという姿勢は、ウェザーの曲の構造的特色とも重なるんですよ」
思い切り趣味であることが、演奏の斬れ味を際立たせている。そして絶妙なるアレンジが、曲を新鮮に響かせている。ここには第一線級のプロが本気で遊んだ凄さ、面白さがある。是非そこを聴いてもらいたい。
LIVE INFORMATION
『CONCERT SCHEDULE』
○12/12(月) 浜松ポルテシアター ○12/19(月)青山BODY&SOUL ○1/24(火)松山MONK ○1/25(水)姫路Pochi ○1/26(木)広島Speak Low ○1/27(金)高松Speak Low ○1/28(土)豊橋AVANTI ○1/29(日)鈴鹿どじはうす ○2/1(水)板橋区文化会館(「歌謡ナイトjazzyなライブショー」公開収録)...etc..
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