いまだその人気に陰りが見えないJフュージョンのブームだが、それは音盤に限ったことではない。ライブシーンにおいても、Jフュージョンを代表するバンドやプレイヤーたちによる公演は盛況で、見る者を圧倒する名ステージを繰り広げている。
そんなJフュージョンを全身で浴びることができる公演が、2026年1月にビルボードライブで開催される。ここでは、かつしかトリオ、〈J-Fusion Special Session〉の見どころなどについて紹介していく。
ストリングスを率いた〈オトナな〉かつしかトリオ
まず紹介したいのが、1月12日(月・祝)に東京、1月15日(木)に大阪のビルボードライブに登場するかつしかトリオだ。元CASIOPEAの櫻井哲夫(ベース)、神保彰(ドラムス)、向谷実(ピアノ)の3人が2021年に結成したかつしかトリオは、今年10月にニューアルバム『“Organic” feat. LA Strings』をリリースしたばかり。今回の公演は、本作の世界観を再現するかのようにストリングスカルテットを迎え入れた編成で行われる。
ここでライブの軸となるであろう『“Organic” feat. LA Strings』の収録曲について触れていきたい。本作は、かつしかトリオにとって初めて海外でレコーディングを行った作品で、そのタイトル通り、ロサンゼルスのストリングス隊を迎えた意欲作となっている。

『M.R.I_ミライ』(2023年)、『ウチュウノアバレンボー』(2024年)とこれまでのアルバムでは3人の強靭なアンサンブルを最大限に活かし、伝統と革新を両立させたフュージョンナンバーを生み出してきた。それが『“Organic” feat. LA Strings』ではストリングスを加えたことでこれまで以上にナチュラルさと繊細さが際立ち、全体としてメロディアスな作品となっている。
例えばアルバムのオープナーである“LUCA”は、本作を最も象徴している楽曲と言えるだろう。テーマ部分での向谷のたおやかなピアノ、櫻井による粒立ちのいいエレキベース、中間部での複雑な変拍子を鮮やかに乗りこなす神保のドラム、そして3人の合間を縫うように顔を出すストリングス。ライブ映えする楽曲でもあるだけに、ぜひそのダイナミズムを直接感じたいものだ。
続く“Katsushika De Cha Cha Cha”は新境地とも言えるナンバーで、セクション毎に表情が細かく切り替わるところがなんともオトナ。また、本作用にリアレンジされた“Red Express”もストリングスが加わったことでより大人な印象に。オリジナルのバージョンとも聴き比べつつ、ライブではそうした音源との違いを楽しむのもいいだろう。
なお、3人は東京と大阪での公演を終えたのち、1月20日(火)にはビルボードライブ台北でもパフォーマンスを行う予定だ。かつしかトリオにとってもはやホームとも言えるビルボードライブでの熱演を、ぜひ間近で体験してほしい。